特級呪術師が護衛につくそうです。３ (ページ4)

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90話ページ4

その危険を避けるために高専に入れる者はある程度制限されているし部外者はどうやったって入れないだろう。
　それが、ヒーローが交流会を観に来るのだという。
　ヒーローと呪術師は相いれぬ存在で、互いに深く踏み込まないと言う暗黙の了解のもとなんとか共存している。
　これに落ち着くまでに上層部と公安で何度か揉め事があったと聞いたことがある。
　呪術師が雄英に入るのはあちらの同意の上だ。公安にさえ入らなければ余程のことをしない限り怒られはしない。
　しかし、ヒーローが高専に入るというのは聞いたことがない。先にも言ったが、高専は呪術界の要なのだ。そんな前例はなかったと思う。
　長い話になったが、とにかく異例すぎて驚愕しているのだ。

「という訳だから、去年みたいに雑に終わらせるんじゃないぞ」
「………うぃ〜」

　怜は目を逸らしながらそう答えた。
　去年はとにかく早く終わらせたくて団体戦開始と同時に術式で呪霊を一掃したのだ。
　一級程度しか放たれないのに加え広範囲に術式使用可能のため二、三度に分けて散っていた呪霊を祓った。当然、早すぎる終結により京都校からは大きなブーイングが上がったし夜蛾にもしこたま怒られた。
　しかし、あの時は特級になりたてで激増した任務に疲れ切っていたので交流会などに真剣に取り組むほど気力が残っておらずさっさと終わらせて眠りたかった。仕方ないと思う。

「それで、雄英からは誰が来るんです？」

　怜は手に持っていたポテトチップスの袋を開けた。

「それは当日の楽しみだ。それより、外に出て鍛錬でもしたらどうだ」
「先生、正気ですか」

　ぼりぼりとポテトチップスを噛み砕く。
　要が怜の持っている袋に手を突っ込んで、数枚掻っ攫っていった。
　夜蛾も外気温に思うことがあったのか何も言わない。
　勝ったな。このままゴロゴロしていよう。たまには怠けたって誰も文句は言ってこない。
　諦めた夜蛾は寮からさっさと出て行った。多分
まだ仕事が残っているんだろう。
　怜も要も、特に気に留める様子はない。
　ぼうっと過ごしていると悟と傑が寮に帰ってきた。二人は昼休みの間、外で組み手をしていた。なるほど、今思えばそれも明日の交流会のためか。