27話 ページ27
「要、どうせ補助監督に乗せてもらったでしょ」
「当たり前だろ。新幹線に乗る金なんてねぇよ」
こんなことを言うが要も一応、一級呪術師である。
怜までとはいかないが、そこら辺のサラリーマンの何倍もの給料だろう。
しかし、任務後の要は恐ろしいくらいに面倒くさがりになる。
新幹線の席を取るのさえ面倒だと感じたのだろうか。
(いよいよ、末期なんじゃ…)
ソファにドカリと座った要を横目に見る。
あくびをしているあたり、要も眠いらしい。
「じゃあ、先輩。私は高専に戻りますね」
「うん、あの呪詛師もよろしく…あ、夜蛾先生には『私がやるから』って言っておいて」
「分かりました」
そう返事をした後傑は一度頭を下げると職員室を出て行った。
「鼓月さん、何をやるの？」
ミッドナイトが怜の言葉に疑問を持ったのか首を傾げていた。
「あぁ…呪詛師の尋問と処刑です」
処刑という言葉を発せば、職員室内の空気が凍った。
隣で要は眠そうに目を擦っていたが。
「それは、鼓月がやるのか？」
相澤が目を細めてそう聞いてきた。
「はい。だいたい、特級呪術師が請け負います」
そう言えば、皆はなんとも言えないような顔をした。
「呪詛師なので、生かしておけばまた呪いを生むんです。だから…」
「もういいだろ。そこまで言えば分かる」
要が面倒そうにそう口を挟んだ。
たしかに、と一度頷く。
職員たちは顔を顰めたり目を閉じたりする者が何人かいたが、特に何も言ってこない。
「……それが、呪術師なんです」
そう小さく呟く。
誰に聞こえたか、そんなことは特に気にしていない。
ただの、独り言だ。
ヒーローの目的が敵を捕らえることだとすれば、呪術師の目的は呪いを祓うことだ。
逮捕して終わり、のヒーロー業と違い、呪術師にはその先がある。
呪詛師を殺すこと。
もう、何も思わないが、これも世間一般的に見れば異常なのだろう。
だが、そんなことを気にする暇はない。
後輩や仲間の呪術師を優先する。
これ以上はない。
そう考えながら、隣でウトウトと首を揺らしている同級生を見た。
二人だけなのだ。
過去を知っているのは、二人だけだ。
そっと、要の肩に頭を乗せた。
要は振り払おうともせずに、その上に自分の頭を乗せる。
睡魔が襲ってきて、それに抗う間も無く目を閉じた。
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枝豆(プロフ) - てんぎつね。さん» 何それ、面白いですね笑笑好きです笑 (2021年8月17日 0時) (
レス) id: dc63b94e68 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - 私、四話で『い〜い 質問ですねぇ』って言っちゃいそう。 (2021年8月16日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
枝豆(プロフ) - 中学生なルイさん» あぁぁ…嬉しいです！ありがとうございます！！ (2021年6月1日 0時) (レス) id: dc63b94e68 (このIDを非表示/違反報告)
中学生なルイ - おおっまじか…めっちゃ好きです笑体調等に気をつけて更新頑張って下さいね! (2021年5月31日 23時) (レス) id: 1ec5234607 (このIDを非表示/違反報告)
枝豆(プロフ) - プスメラウィッチさん» なるほど…。現段階で、五条オチです、とまでは断言できませんが、意識しながらお話を書けたらいいなと思います。その内オチアンケートを取ろうかと考えていますので、多少の変動はあるかと思いますが…^^; (2021年5月16日 22時) (レス) id: dc63b94e68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：枝豆 | 作成日時：2021年5月16日 19時
