凪いだ心に (ページ10)

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テーブルにお皿を並べていると姉は何かにハッとした顔でこっちを見た。

「あっ、私お風呂ちゃんと入ってない！！ごめんね凪…ねぇ嫌だった？！」

「え、あ、いや…大丈夫…」

またしても詰め寄ってくる姉に動揺を隠せない。

どうしてそんなに私を気にするんだろう。
出来損ないと言われても文句言えない位の存在なのに…。

シャワーは浴びたんだけど…と自身の体を気にし始めた姉にお母さんがご飯の前に入ってきたら？と提案し
た。

姉がお風呂に入っている間、私とお母さんは夕飯をテーブルに並べていた。

「…凪。最近良い事あったの？」

「え？」

不意にお母さんがそう言ってきて吃驚した。

「何だか前よりも表情が明るくなった様な感じがして」

流石母とでも言うのだろうか。
そんな事気づくのか…。

とは言え、自覚は無い。
それより、自分が以前どんな顔をしていたのかもよく
分からない。

頭に浮かんだのは発目ちゃん。

そう言えば、発目ちゃんがサポート科に入ってからは、前よりかは楽しいと思える様になったかもしれない。
彼女は、私の個性について何も触れてこなかったから。

周りの大人は、姉と比較して勝手にガッカリしていたけれど。
…あ、お母さんは違うけどね。

「…友達ができたの。後輩なんだけど、明るい子で…とても優しいの」

そう言うとお母さんは一瞬目を丸くしたけど、ニッコリと笑って

「そう。それは良かったわね」

と私の頭を優しく撫でた。

お母さんの手はとても、暖かかった。