凪いだ心に

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あの後、何処か気まずい空気が流れて、更に私が「何であんな事言ったんだろう」と羞恥心に飲み込まれていたので、
ハッキリ言って本線を見ていなかった。

尚、その間発目ちゃんは何故か満足気だったのでそれに関しては良かったと思う。…多分。

個性を観察するとか言ってたのにな…。

今は表彰式。

姉の姿を帰る前に一目見ようと思い、
私はまた三年の会場に来ている…けど、流石と言った
ところか空いてる席が無い。

仕方なく立ち見をしようと思ったらふと姉の姿が目に入った。

相変わらずキラキラしていて、まるで天女みたいだ。

今年も好成績を残した姉。

私もあんな風に大勢の前で堂々できるくらいの個性と勇気が欲しいな…。

ふと目に入った一年の会場を映しているモニター画面。

勿論一年生も表彰式をしている所なのだが、
一位の子が、あり得ないくらいの量の拘束をされて表彰台に立っていた。

「…何あれ…」

クリーム色のツンツンした髪の男子生徒。

何か…危険生物とかそんな感じなのだろうか…。

その画面に目を向けているといつの間にか表彰式は終わっていて、観客達は席を立って帰る人がチラホラい
た。

見過ごした、と気分が落ち、私も帰ろう、と思いクルリと方向転換した時、ドンと誰かがぶつかってきた。

「…痛」

少しよろけた後、ぶつかってきたのに謝りもしない相手に嫌悪感を抱きながら会場を出た。

…私って、こんなに心狭かったっけ。

自分の事を心が広いとか優しいとか思ったことはなかったけど、さっき発目ちゃんに言われた言葉が何処か忘れられずにいた。

〝…まぁ、私にとって先輩はビッグ3よりも凄い存在ですよ〟

あんな事言われたの初めてだったし、無意識に浮かれてたのかもしれない。
自分が大きくなった気がしてたのだろう。

つくづく、嫌な奴だな私は。

吐き出せない気持ちを抱いたまま帰路に着いた。