凪いだ心に

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まず、緑髪の頬にそばかすがあるヒーロー科の男子生徒。

発目ちゃんが言うには、騎馬戦で同じチームになったとか。
その理由すらも想像できてしまうのが、何と言うか複雑な気分になる。

大方、自信作のサポートアイテムをこれまた披露する、と言ったところだろう。

それで、肝心の彼の個性は何だろうと発目ちゃんの言葉を待っていると彼女は何処か遠くを見ながら

「まあ、個性は分かりませんが！！」

とハッキリと言い切った。

その言葉を頭の中で繰り返しながらゆっくりと発目の顔を見る。
清々しい程の笑顔で未だ遠くを見つめていた。

「わ、分からないって…同じチームだったんでしょう？一回も個性を使わなかったって事？」

私がそう問うとうーんと首を傾げた発目ちゃん。

「んー…よく分からないんですよね～…ま！それも含めて観察してみましょう！！」

握り拳を作ってブンブンと振り回しながらこっちを見るのでつい笑ってしまう。

「ん、そうだね。もしかしたら今後、ヒーロー科とは関わることもあるだろうし、今の内に知っておこうか」

去年…私が一年の時、確かコスチュームの改良とかしてたような……パワーローダー先生が。
今年はきっと発目ちゃんが猛威を振るうんだろうな。

ちなみに私は人見知りするのでそういうのには向いてないと先生に言われた。

そんな事を考えていると試合が始まった。

緑の髪の…えっと緑谷さんは、紅白髪の…轟さんと対戦らしい。

轟さんの個性は半冷半熱。
体温調整等も自分でできる分コスチュームに頼る事は無いかもしれない。
個性の威力も大きいし。

「…今年の一年生は才能ある子が多いんだね」

ボソッと呟くと発目ちゃんはこっちを向いて顰めっ面でこっちを見た。

　
あぁ…まずい事になるかもしれない。