凪いだ心に (ページ48)

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４２　ねじれside ページ48

私が出し物をしている時、お茶子ちゃんや梅雨ちゃん、天喰君、通形など色んな人が来ている事に気付いた。

皆驚いた顔をしている。

(…凪…は来てないのかな…)

毎年凪の姿がないかと探してはいるのだけど一度も見つけられたことがない。

今年も来ていないのかも。

最近は随分と喋りやすくなってきたと思ったけど私の思い違いだったのかな…。

そう考えている時

「…綺麗」

という言葉がどこかから聞こえてきた。

…凪の、声？

人が沢山いる中でどこから聞こえたのか、そもそも誰が言ったのかも分からないけど直感的に凪だと思った。

辺りを見回していると私と似た色の髪が視界に掠った。

(…いた…いる、凪が…いる…！！)

目を見開いてこっちを見ている凪に笑って手を振る。

凪の周りの人はそれも出し物の一つだと思ったのか手を振り返してくれる。

そんな中凪は口を開いたかと思うと

「きれい」

と口パクで伝えてきた。

……うん、聞こえた…聞こえてたよ。

不思議だね。

こんなに人がいるのに凪の声だけが聞こえてきたんだよ。

目元が熱くなるのを必死に堪える。

なんとか出し物を全て終えてステージから控え室に向かう。

(あ、まずい…ニヤニヤが止まらないな…どうしようどうしよう)

口角をなんとか下げようとするけど全く治らなくて口を手で覆う。

「は、波動さんお疲れ様……？どうしたんだ？」

「…ううん、何でもない！」

天喰君が控え室に入ってきて私の様子を伺う。

なんとなく言いたくなかった。

私だけの中に留めて置きたかったから。

天喰君は首を傾げて考えているけど、いまいちピンときていないらしい。

「んー…じゃあ一つだけ教えてあげるね！言うよ？あのね、凪が来てたの！！」

私のその言葉に分かりやすく反応する天喰君。

あー…やっぱり好きなんだなぁ。

そう考えて少し寂しくなった。