凪いだ心に (ページ34)

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翌日、天喰先輩と通形先輩、一年の緑谷さんが入院していると言う病院へ。

「…よし、先に通形のところ行こうか！！」

「ね、姉さん…！病院では静かにしなきゃ…」

足取り軽く廊下を進む姉に少し違和感を感じる。

…？何か、あったのかな。

今の姉は、何かを隠している様な…〝いつも通り〟を取り繕っている様な感じがする。

「何か隠してるの？」と口に出そうとしたところで姉がピタリと止まった。

「えーと…ここだね！凪、入ろう！」

「あ…うん」

ガララっと扉を開けると、いつもの様な笑顔ではなく窓の外をぼんやりと眺めている通形先輩が居た。

「…あ、波動さん…達！！お見舞い、本当に来てくれたんだね！」

パッと笑顔を見せた通形先輩の顔は酷くやつれている様に見えた。

「…果物、ここに置いておきます」

お見舞い用に買った果物をベッドの隣の棚に乗せる。

「あぁ、ありがとう！いやー任務が成功して良かったんだよね！」

…任務か…。
私は詳しい内容は分からないけど、ビッグ3が出てるんだから相当大きなものだったんだよね。

成功、したのか。

なら、なんで通形先輩は浮かない顔をしているんだろう。

自分が怪我しているから？

…いや、先輩はそれで落ち込む様な人じゃない筈。

…じゃあ、誰かが自分よりも大怪我したとか…？

通形先輩よりも重傷…

………死…？

その言葉が浮かんで、咄嗟に消し去る。

「…姉さん、私天喰先輩の所に行ってくるね」

「え？あ、うん」

あの場に私は居てはいけない気がした。

きっと、同じ任務に関わった者同士、話もあるだろう。

それに、私にはヒーローの考えがよく分からないし。
…サポート科だから…。

うまく慰められる自信もない。

いや、無関係の私に慰められても、って感じだろうけど…。

そう考えながら廊下を歩いていると

「…波動さん…？」

と言う声が前から聞こえた。