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お祭りの会場に行くと人で溢れかえっていた。
…人がいっぱい…酔いそうだな。
たこ焼き、焼きそば、りんご飴。
金魚すくいに射的。
お祭りの定番といえる屋台がずらりと並んでいる。
「ねぇ凪、何か食べたい物はある？」
「えーっと…あ、チョコバナナ…食べたいな」
目についたのはチョコバナナの屋台。
「分かった！今日は私奮発するね！」
そう言って財布片手に歩き出そうとする姉を止める。
「え、ちょっと待って…？！わ、私自分で払うから…！！」
「大丈夫だよ！私今日沢山持ってきたから！」
「そ、そういう問題じゃなくて…」
もう何を言っても聞かなさそうな姉に諦めて着いていく。
帰った時にでもお金返そう。
そう考えて姉からチョコバナナを一本受け取った。
それからは目一杯楽しんだ。
金魚すくいでは姉と私は1匹しか取れなかったけど、屋台の人がおまけと言って1匹くれた。
合計3匹。
綿飴やりんご飴、かき氷も食べた。
…あれ、甘いものしか食べてないな…。
今は少し歩き疲れて休憩スペースで休んでいた。
「姉さん、ちょっとゴミ捨ててくる」
姉にそう言ってゴミ箱がある場所に向かう。
ゴミを全部捨ててから戻ろうとした時、人が一斉に動いた。
あぁ…もう直ぐ花火だから、会場に向かってるのか。
そう思いながらも、流れに逆らえず気づくと見覚えのない場所にポツンと突っ立っていた。
「…どうしよう…これは、逸れちゃったんだよね…？」
私が勝手に迷子になったとも言えるけど…。
とにかく、姉に連絡しようと思い鞄を探ろうとした時、姉の元に置いてきたのを思い出した。
ゴミを捨てるだけだから要らないかなと思い置いてきてしまったのだ。
本格的に、打つ手なしだ。
無闇矢鱈に歩き回ってもすれ違いになるかもだし、かと言って此処にずっといても見つかる可能性は低い。
頭を捻っていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「…もしかして、波動さん？」
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作者名：枝豆 | 作成日時：2020年6月13日 0時
