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神野区であった大事件。
あの日を境に雄英も大分慌てて状況を変えようとしている。
「全寮制…」
雄英が提案したのは、寮制度を設ける事。
勿論、ヒーロー科とサポート科では別れる為、姉と顔を合わせる時間が少なくなる。
私は断る理由がないし、姉もきっと受けるだろう。
そう考えて、ちょくちょく物を纏めていった。
使わない物は家に置いてて良いだろうし、この際古くなった物は捨ててしまおう。
これから秋に入るし、衣替えの時期。
…とは言っても、私の部屋はそこまで物がある訳じゃないし、寮にも色々と設備は揃っているらしい。
必要最低限のものを持って、日用品はまとめて買い換えよう。
片付けを決心した数分後にこの考えに行き着いた。
…やばいな、私。
「…そんなに、片付けは得意ではないだけだから」
誰かいる訳でもないのに言い訳を溢す。
すると、コンコンと部屋の扉がノックされた。
「凪、今いい？」
「う、ん。いいよ」
姉が部屋に入ってくる。
手には、何か持っているが、扉に隠れてよく見えない。
未だに姉とは上手く喋れずにいる。
前よりかは目を合わせられる様になったと思うけど…。
「これ、荷物に入らなくてね、凪要らない？」
そう言って差し出されたのは猫のぬいぐるみ。
丁度、私が抱きしめられるくらいの大きさだ。
「…可愛い」
「ね！凪に似合うと思ったんだ！」
…ぬいぐるみが似合うって言うのは褒め言葉…だよね？
でも、このぬいぐるみがあれば、寂しくないかもしれない。
「…これ、姉さんだと思って、大事にする」
恥ずかしくて目を合わせられず、俯きがちにそう言うと、姉は私に飛びついてきた。
「はぁ〜…ほんとに可愛い…」
ぐりぐりと頭を肩に押し付けてくるので、少しくすぐったい。
ん？待って…今、可愛いって言った…？
だ、誰が？私？？
「ね、姉さんの方が、可愛いよ…」
ほんとに、私じゃ足元にも及ばない位。
そう言うと、姉は頬を赤らめて慌てて部屋から出ていった。
…あれ？私何かまずいこと言っちゃったのかな…
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作者名：枝豆 | 作成日時：2020年6月13日 0時
