凪いだ心に

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波動凪。
それが私の名前だ。
苗字から分かる人も居るかもしれないが、雄英のビッグ3の一人、波動ねじれの妹。

〝ビッグ3の一人の妹〟

なんて、肩書き私には勿体無い。
私の個性は姉の劣化版。
本当に小さい波動が出せるだけ。
言わば、弱個性。

小さい頃からヒーローには憧れていた。
でも、一つ上の姉の個性を見てからは、そんな事は言えなくなった。

私は個性的にヒーローにはなれない。
幼い頃、母と姉に「ヒーローには向いてないから」と、誤魔化して笑っていたが、本当はヒーローになりたかった。
出来ることならば私の手で誰かを救ってみたかった、なんて言ったらそれは勝手なエゴだけれど。

それでも、私は姉と同じ学校は出たくて、雄英に受験した。
ヒーロー科ではなく、サーポート科に。

科学的なところは好きだったし、物作りも小さい頃はよくやっていた。

私の個性で人を助ける事はできなくても、私の作った道具でその手助けになれば、それでいいと思えたから。

…本音を言って仕舞えば、姉の手助けに…。

まぁ、それは烏滸がましいと分かってるけどね。

ちなみに、こんな事を考えている今は雄英体育祭真っ只中。
私は毎年体育祭には出ていない。
毎回、出たところで何が出来るんだ、と思ってしまうから。
個性も強いものじゃ無いし、きっと予選で落ちてしまう。

だからと言って、別に二年生の会場にいるわけじゃ無い。
同学年の中で友達と言える人はいない…から。
だから、三年生の会場で去年も今年も潜む様にして見ている。

そう考えていると姉が会場に出てきた。