オトナ ページ43
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「はぁっ……」
息切れが激しくて、口の中に鉄の味が混ざる。
それでも疲れを感じないくらい、私は焦っていた。
緑の並木道を過ぎて、突き当たって左の角を曲がり、坂道を登る。
途中よそ見をしていて、自転車に引かれそうになる。
転んだ膝からはじんわりと血が滲んできていて、ズキズキと脈を打っていた。
痛いけれど、苦しいけれど、私は彼に謝らなければならなかった。
今まで勘違いしてて、ごめんなさいと。
彼は同情されていると思うだろうか。
惨めだと感じるだろうか。
私はどうしたらそれが伝わらないかを考えながら、真っ直ぐな道を走った。
*
見えてきた。
この辺では一つしかない、墓地につく。
昨日はお店だったから、そらるさんは今日……お墓参りに来ているかもしれない。
もういない、弟さんの。
……もし彼がいたら、なんて言おう。
動悸が激しくなって、目が回ってくる。
一足一足登る度に、考えていたことが真っ白になった。
「……そらる、さん」
広い砂利が敷き詰められた霊園の中は、酷く静かな空間だった。
まるでそこだけ、別の世界のような。
辺りを見渡しても、後ろを振り返っても、そらるさんはいなくて。
私は何をやってるんだろうと 途方もない気持ちに暮れた。
……薄い 水色の空。
そらるさんが、好きそうな色だなぁ。
そんなことを思いながら、とぼとぼと 力もなく元来た道を辿ろうとした
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そのだ(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/hp/gmmnk/ (2017年9月10日 19時) (レス) id: 103f1e7372 (このIDを非表示/違反報告)
ぜんざい大好きマン(プロフ) - ところで、みんくさん今年高校にご入学されたんですね、おめでとうございます。でもそうすると、班クソ書き始めたのって中2の時ってことになりません? (2017年8月17日 22時) (レス) id: dc0cb92ab3 (このIDを非表示/違反報告)
ぜんざい大好きマン(プロフ) - みんくさん素直に信じてTwitterでおてぃんてぃんランド開園しちゃうとか言ってたのに、カワイソウ。みんくさんの気持ちを弄ぶなんてけしからん奴じゃ。 (2017年8月17日 22時) (レス) id: dc0cb92ab3 (このIDを非表示/違反報告)
天宮みんく(プロフ) - (サブ垢の方で返信したのは間違いです) (2017年8月14日 21時) (レス) id: c59fc0c6df (このIDを非表示/違反報告)
天宮サブ垢(プロフ) - ぜんざい大好きマンさん» なるほど!そうだったんですね笑。確かに二次創作書いてる時点でオチは分かってますし内容や書き方も未熟なのでそう言われても仕方が無いですね^^* (2017年8月14日 21時) (レス) id: f92d1429d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天宮みんく | 作者ホームページ:@Tengu_Mink
作成日時:2017年8月4日 12時