【そらる】オトナ女子

オトナ ページ13

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そう呟いた時、私はやっと気がついた。
そらるさんって、もしかして

「伊東さんと同じ、歌い手の……？」

自分で気がついたことなのに驚きは大きくて、思わず退いてしまう。

だって、“そらる”さんって確か、インターネットで1、2を争う歌い手さんだって……。

どこかで聞いたことを思い出して、段々と血の気が引いてくる。
私、そんな人に今日 助けてもらったの……！？

「わわ……！」

焦って、そらるさんのメッセージを開いてしまった。
大変、既読 ついちゃった……。

A:そ、そうですね！歌のセンス……！そらるさんなら、ありますよ絶対。

テンパって変なこと送ってないかな。
……それより そらるさん、私にバレる可能性も考えて名前 教えてくれたのかな。

色んなことがぐるぐると混乱して、頭を抱えていると、またポロンと音が鳴る。

そらる:Aさん、大丈夫？緊張してるね。笑

「ひっ……ばれた」

どうしようどうしよう。

A:いや、全然してませんよ！そらるさんが歌い手さんだって、気づいてもいませんから！

そらる:あ、ばれちゃった。

「や、やっちゃった……」

昔からの緊張癖は、やっぱり治っていないみたいで。
緊張したときに変なことを口走ってしまうのが私の悪いところだ。

A:ごめんなさい……。そらるさん、ばれちゃダメなんですよね……？

そらる:いや、Aだから 大丈夫だよ。

そ、それってどういう意味なんだろう……。
いきなり「さん」がなくなったこともあって、不本意にも期待してしまう。

そらる:今度、一緒に何か歌おうよ。Aに聴かせたい。(よびすてごめんね)

A:え！？……い、いいんですか？

そらるさんはもちろん と言って、バイトに戻った。
歌を歌う人のバイト……何をしているんだろう。

感じたことのない気持ちが押し寄せてきて、胸がいっぱいだった。

伊東さんも、そらるさんと変わらないくらい優しくて、とってもいい人だ。

今 何してるのかなぁなんて 思いながら、服を着替えに向かった。








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