花田さんは笑い方がおかしい。

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榎本の下の名前と名前が同じ木本は、隣のクラスに所属する野球部だ。
これは僕の独断と偏見なのだが、彼は野球部部長なのにちょっと乙女だ。
オネェとかそういう類でなく、例えるとサランラップがパン！と綺麗に切れた時に「きゃっ」と言ってしまうようなタイプだ。普段こいつは野球バカで、顔は見られない方じゃない。
僕はこいつもなかなか気に入っている。


話が随分とずれたが、まぁ卒業式練習の時に僕は２番目に名前が呼ばれるわけだ。

“織田、信長！”

なんで織田と信長で区切るんだろう。
そんなことしたら余計に目立つことくらい分かるでしょう先生……

“はい”

“声が小さい！！織田…………信長！！！！！！”

なんでちょっとためてみた？？？？？？？

“は〜い！！！！！！！！！”

“なみなみタイプの伸ばし棒付けるな〜！走ってこ〜い！！！”

“はーい！！！”


僕は毎日こんな感じだ。
でもそれは僕だけじゃない。

噂の花田さんにも、恒例の反応があるのだ。

ところで、皆さんは顔文字というのを知っているだろうか。
ケータイの変換に出てくる、あの顔文字だ。

花田さんは文字列に置き換えれば、本当に顔文字のような笑い方をする。

例えば、朝の出席確認や卒業式練習の卒業証書授与式の時などに それは発症する。

「では出席を取ります。織田、信長。」

「はい」

「( ^o^)＜ﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝwww」


お分かり頂けただろうか。
それでは、卒業証書授与式の時をご覧いただこう。


「3年1組、榎本 木本」

「はい」

「織田 信長」

「はい「( ^o^)＜ﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝwww」


まぁこの通りだ。
どうも花田さんは笑い方がおかしい。

あまりにも絵文字のような笑い方だから、こうするしか説明のしようがないのだ。


花田さん。
僕は彼女の下の名前を知らない。

いや、僕だけではない。
花田さん以外、その名前を知るものは恐らくいないだろう。

先生、もしくは親ですら、花田さんの名前を知るものはいないんじゃないか？

なぜなら、彼女はあまりにも存在、行動、言動が ミステリアスすぎるからだ。



そして、そんな中僕は

平凡で特に取り柄もない僕は、



彼女に恋をしている。









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