生きてる事が罪なんだ(東京喰種) (ページ5)

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episode5 ページ5

やられると思ったその時だった。

目の前に鱗赫の喰種が立ちはだかった。
夜空に照らされ、肩にかかるくらいの白髪がキラキラと輝いて美しかった。

『大丈夫？けがはない？』
ト「え、あっ、はい」

手を差し伸べられる。端正な顔立ちで、こんなことを思い浮かべたくもないが
依子がいつも読んでいる少女漫画に出てくるようなスラっとした出で立ちで
ヒロインを守るかのように前に出た。

「お前、誰だよ。あともう少しだったっていうのに。仕方ねえから、お前もろとも喰ってやるよ・・・！」

獲物をしとめ損ねたため、怒り狂った攻撃は先ほどとは比べ物にならないくらい早く、力強いものだった。
が、そんなことAにはどうでもいいことだった。
向かい来る攻撃よりもさらに上を行く反撃で、相手の横腹を貫いた。

「・・・ぐはあっ！！・・・くっそ！！」

貫通した鱗赫を抜くことはなく、Aは相手へと歩みを進める。

『俺はね、別に共食いがだめっていうわけではない。むしろ、力を欲するのは誰にでもあることだ。けれど、君は根本的なことを間違っているんだ。わかるかい？』

「ふっ・・・。何言ってんのか、さっぱりなんだよ・・・！！！」

貫かれたままの体制から、振り絞った一撃を出すが生憎軌道を外れる。

さらに歩みを進め、口を開く。

『そうか、わからないか。残念だな。俺はね、喰種もヒトも好きだよ。だから、どっちかが傷つくのは悲しいんだ。この女の子は、ヒトに混ざりたいんじゃない。その友達と一緒に居たいから、努力をしている。その努力を踏みにじる資格は君にはないし、誰にもない』

喰種もヒトも好き。店長が言いそうな言葉だとトーカは思った。
なぜか、店長のような雰囲気もある彼が不思議でたまらなかった。
なんて甘い考えなのだろうとさえも思った。
だが・・・。

『まあ、君にそんなことどうでもいいよね。君は、彼女を喰べようとした。だから、その代わりというか全然違うんだけど、俺が君を食べるよ』

トーカも尾赫の喰種も一瞬この男が何を言っているのか理解できなかった。
尾赫の喰種を食べる・・・？

「はあ！？なんでお前に食べられないといけないんだよ！俺はそんなことゆるさね・・・ぐっ！！はっ・・・！」

最後まで言葉を言いきらないうちに、尾赫の首にかぶりついた。
その瞬間、ぶちぶちっと血管や肉がちぎられる音がする。

「かっ・・・はっ・・・。こ、こいつ・・・本当に・・・くい・・・やがった・・・」