一家に一組、すのーまん。つー!

# ページ20

だてさいど


完全に拗ねた康二とか佐久間が出て行くから慌てて俺たちも追いかけて、気づいたら9人全員で出てきてて。
エントランスの花壇にそれぞれが傘を差して座る。意外と降ってた。


kj「何やねんもう、Aちゃんのばか」
sk「せっかく心配してやったのに」


ほっぺを膨らませる二人。Aが見たら、可愛いって言うんだろうな。


iw「それにしても……あいつ今日おかしかったよな」
fk「俺たちに八つ当たりなんてしたことなかったよね」
mg「……あいつ酒買ってきてた」
ab「仕事……上手くいかなかったのかな」


誰も何も言わなくなる。膨れてる二人も何か思うところはありそうで。
……誰かの足音が聞こえた気がした。普通の人が走っているような音。


ru「ね、ねえ……あれ!!」


ラウールが指差した先にいたのは、こんな雨の中傘も差さずに走り回るA。
泣きそうな顔でずっと下を向いて……きっと俺たちを探してるんだ。
あんなことしてたら風邪ひくだろ! 何やってんだあの馬鹿!!
見てられなくなった俺たちは、すぐにAの元に駆けつけた。


ru「Aちゃん!!」
nb「A!!」
「っ……みん、な……」


俺たちを見たとたん崩れ落ちたA。
顔を両手で覆って、子どもみたいに泣きじゃくる。


「よかった……っ、怪我、してない? うっ……大丈夫?」
ab「馬鹿!! お前の方こそ風邪ひくだろ!!」
mg「俺たちの心配より先に自分だろ」
fk「傘ぐらい差せよ……!」
「ごめん……ぐすっ、みんな、ごめん……」
sk「違う! 悪いのはAじゃない!!」
kj「ごめん……ぐすっ、ごめんなあ……」
「うぅ……ごめん、ごめんね……」


たぶん、本当はAの方が悪いとは思うけど。
姫の前でそんなこと言える男はこの中にはいないから。
……こういうとき思うんだよね。俺たちがAと同じ大きさだったらって。
Aに傘を差してやれるのに。冷たいAの体を抱きしめてやれるのに。なんて。


iw「ねえ……そろそろ帰ろうよ」
ru「お風呂入んないとみんな風邪ひいちゃうよ?」


……そうだよ。それに、ご飯作ってくれたんだよね? 早く食べないと冷めちゃうよ。


「ぐすっ……うん」


Aの腕に抱きかかえられて家に戻る。まずはみんなお風呂だね。
その後Aの美味しいご飯を食べて、お酒にも付き合わないと。
俺たちに出来ることはそれくらいしかないから。
Aの気が済むまでずっと。夜は長くなりそうだね。

できてる。♪→←やつあたり。♪

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