lonely - ひとりじゃないからね (ページ36)

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有岡「そろそろ復帰したいって言ってたんだよね」

高木「まだ無理だよ」

少なくとも自分でコントロール出来るようになってくれれば考えるけど、今はまだ近くに人が居ないといけない状況

薬だって預かっているし、何せ1人の時に不安になっても助けを求めてくれないからね。

有岡「最近涼介も弱ってて…」

高木「あぁ、俺が居ない時だけでしょ？」

もちろん受け持ちの患者は彼だけじゃないし、ここ最近は何故か学会などの出張も多かった。

…だからなのか、やけに甘えてくる涼介には少し不安を抱いていて

有岡「寂しいってハッキリ言うんだよね」

高木「成長じゃん」

有岡「ずっと泣いてるのも可哀想でさ」

治療が始まるよ、と伝えたその緊張なのか
はたまたやっぱり誰かの温もりを求めているのか

どちらにしても彼自身が分からない不安に押し潰されそうになっているという事実は変わらない。

高木「あれ、回復したの？」

伊野尾「うん、喉乾いた」

真面目な話が続いた数十分後、あくびを漏らしながらリビングに戻って来た伊野尾くんはどこかスッキリした顔で。

伊野尾「何話してたの？」

有岡「晩飯何にしようかなって」

伊野尾「主婦かよ、笑」

またあの時みたいに殻に閉じこもり始めるかな… なんて最悪の場合を考えていたからか笑顔を見れたのが嬉しかった。

高木「不安な感じ無くなった？」

伊野尾「だって助けてくれるんでしょ」

数年前に蹴りをつけた話ではあるものの彼にとっていつまでも追いかけられる過去は酷なもの。

有岡「先生、…顔赤いっす……笑」

高木「うるさい」

泣きそうになってんだから黙ってろ、

…少しずつね、前に進めたって事だから。