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side*中島
涼介「ん、っぐす…」
暑くない?なんて聞きながら、少し広くなった陽の当たるスペースでトントン。
大ちゃんが抱っこしてた時から薄々気付いてはいたけど、この機嫌の悪さは眠たくなっちゃったかな…って。
中島「ちょっと休憩だね」
先生帰ってきたら起こしてあげるね、と声を掛けると安心したみたいで。
充電が切れたかのように身体を委ねてくれた。
有岡「伊野ちゃんどう?」
中島「今朝は元気だったよ。薬のおかげで安定してる」
有岡「そっか、良かった」
前までは一日たりとも目が離せなかったけど、最近は笑顔の時間も多くなってきて。
食事もよく取るし、高木先生に渡してもらったカルテを熟読したりして時間を潰してるみたい。
中島「この子は?なんで泣いてたの?」
有岡「デレ期…?」
中島「え?」
いや、全然分かんないんだけど。
大ちゃんによれば、好きすぎた…らしい
有岡「安心するんだよきっと。」
中島「あぁ、伊野ちゃんも言ってた」
有岡「あれは距離感バカだからな」
上から頭を撫でようとすると縮こまって目を瞑る癖があれ涼介くん
その原因なんて知りたくもないけど、やっと安心する人を見付けられたのかな…なんて思えば微笑ましい。
中島「手術頑張れると良いね」
有岡「そうだな、寂しくないようにしてやんないと。」
予定されている手術は刻々と迫っていて、それに向けてチームが形成されたりと大きな動きがあった先日
退院までの目処がやっと立ち、それと同時に不安になるのはその後のこと。
全身麻酔で何時間もかかるものだからその後の回復にも時間がかかるし、襲いかかる副作用にも耐えないといけない。
見た目だけじゃ普通の男の子なのにね。
中島「退院したらどうするんだろう」
有岡「近くの児童養護施設に入所の予定だってさ。」
中島「……そっか」
まだまだ遠いよ、なんて背中を撫でた大ちゃんは「それまでに涼介の笑顔沢山見るし」と訳の分からない決意表明をした。
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作者名:みにむ | 作成日時:2022年4月2日 15時