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伊野尾「…やっば、」
高木「だから言ったのに」
うとうと…バシッ、を数回繰り返した後やっと終わった早朝の合同カンファレンス。
月に数回の他診療科との時間だから割と大事な話もされるのに、終始ぼーっとしていた伊野尾くん。
漸く目覚めたみたいだけど。
高木「なんでポッケ空っぽなの」
伊野尾「ペンは高木が貸してくれる」
高木「名字違うからハンコがいるんだけど」
伊野尾「昨日押した!完璧じゃん」
いやいや、何が完璧なのか全く…笑
聴診器持ってることだけ褒めておくか。
伊野尾「体温37.1度、血圧脈拍ともに異常無し。」
高木「何時に迎えだって?」
伊野尾「準備出来次第ってさ。」
一応自分にも詳細は来てるけど、横の彼張り切ってるからね。
何故だか朝から挨拶の練習をするくらい。
伊野尾「俺怖くない?」
…………。
指定された時間に様子を伺うため集中治療室に向かうと、ぱっちり開いた目で天井を眺めていた。
伊野尾「はじめまして、」
涼介「……」
『人工呼吸器離脱から3日経ちました。バイタルも安定した状態を保っていますが、コミュニケーションは取り難いです。』
看護師からの説明を受けると、伊野尾くんはニコニコしながら一方的に話しかけている。
まぁ…これだけ大人に囲まれると訳わかんなくなるよな
高木「点滴と、…心電図も付いてるのか。」
伊野尾「戻って付け直す?」
高木「いや、念の為付けたままで。」
伊野尾「ベッド動くからね。目瞑ってて良いよ〜」
複雑に絡み合った管を整理してもらい、やっとのことで小児病棟まで戻ってくるとこちらでは受け入れの準備が万端。
高木「波形乱れてないね、安心した。」
伊野尾「今日明日くらいは負担かけちゃうけど…」
絶対安静から漸く抜け出したから、諸々の検査もまだ終わっていない状態。
採血に心エコーに…ってオーダーを始めると、気遣った伊野尾くんが横から助言を出してくれて。
伊野尾「まずは心開いて貰わないと…」
高木「焦んなくていいよ。彼のペースがあるだろうし」
伊野尾「じゃあ、今夜辺りご飯行く?」
高木「なんでだよ。笑」
たまには良いけどさ。
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作者名:みにむ | 作成日時:2022年4月2日 15時