lonely - ひとりじゃないからね (ページ12)

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幸いにも全員、同じ帰り道。

虚しくも独り身な連中は帰る家庭も無いから病院の寮が家みたいなもん。

病院から呼び出されてもすぐ行けるってかっこつけとくか。

中島「ちゃんと戸締りするんだよ？」

伊野尾「ん」

有岡「なんかあったら隣の部屋駆け込みな」

高木「いや俺ん家。笑」

おやすみー、なんてそれぞれ自室に帰ると目の前に広がるのは片付けられた何も無い部屋。

いや、何も置くものがないだけか。

これ明日二日酔いだなー、なんて頭痛薬を流し込んで布団に潜り込んだ。

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ブーッ、ブーッ、ブーッ、･･･

高木「…はい」

寝る気満々だったんだけど、

『今日の伊野ちゃんの話、聞く』

『あ、俺もいるよ』

ふたりも元気だな。笑

有岡くんの携帯からの通知だったのに、まだ一緒に居るらしく裕翔の声まで聞こえる通話。

高木「特に変わったこと無かったけど。」

有岡『嘘つけ、またあそこに居たんでしょ？』

高木「んー」

中島『ねぇ、寝ないでくださいよ。笑』

睡眠不足なの、解放してくれ俺を………

有岡『体調良くないの？やっぱり。』

高木「いや。まぁでも、…うん」

有岡『治療の経過は？』

高木「完治は難しいって。元々強くないし」

昔から内気だった性格も相まって、必要な時に助けを呼ばないから全ての事を知れているわけでもない。

前触れもなく突然不安になったり、一人失踪したり。

高木「あとは？」

中島・有岡『……』

高木「じゃあ、明日採血させるから。それなら良い？」

きっと２人の心配はメンタルの問題だけでは無い。

過去に何度か倒れていたり、体調を崩すことも多々あるからこそ気遣ってくれてるんだろう。

有岡『病棟の処置室で待ってます』

高木「助かる」

中島『先生、おやすみなさい』

高木「はいよ。笑」

「せめて症状の１つでも教えてくれるとね…」と話していた伊野尾くんの主治医。

交友関係は最小限、気を許す人間にしか笑顔を見せない、頼ってこない。まるできまぐれな猫だもんな。