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伊野尾「でも不思議だよね」
高木「何が?」
伊野尾「母親自ら救命してんだよ」
高木「まぁ、隠蔽でもしようとしたとか。」
それもあるねぇ、なんて欠伸混じりに呟く。
まだ要所要所しか書かれていないカルテに目を通すと、外傷でいかにも疑われる母親が心肺蘇生している事が分かった。
伊野尾「捕まってんならねぇ、」
高木「父親居ないんだっけ?」
伊野尾「いや、居るよ。再婚らしいけど」
高木「あー、。」
母親への事情聴取によるものだろうな、情報が大雑把に記されている。
本人に聞かない限り何も分からないけど、まだ幼いしな…
伊野尾「心疾患か」
高木「でも元はそれほどなんだろ?」
伊野尾「うん、手術適応でも無かったみたい」
およそ100人に1人が先天性の心疾患を持って産まれてくると言われている中、もちろんその度合いはそれぞれ。
彼の場合は経過観察以外何の不自由もなく育ってたらしいけど。
伊野尾「この傷とかさ、古くない?」
高木「最近始まったことじゃ無さそうだな」
外部流出なんて許されないこのカルテは、担当になった医師と看護師間で共有されるもの。
救急に運ばれた当時違和感を持った医者が画像に残しておいてくれたものを見て伊野尾くんが指をさす。
気づいていないだろうけど、今は夜中の1時を回った頃。
高木「早く寝ないと明日に響くよ」
伊野尾「んー」
高木「俺寝るけど良い?」
伊野尾「家帰るの?」
高木「仮眠室。朝イチでカンファだから」
伊野尾「じゃあ俺も」
寂しがり屋なのは知ってる。
肝心なところで頼ってこないのも分かってる。
だからこそ目が離せないんだよ、…
伊野尾「はぁ、緊張する」
高木「あれから初めてだもんね、担当持つの。」
伊野尾「…上が2人じゃないと許してくんなかった」
高木「だろうな」
数カ月前の話は、また機会があったら思い出そうかな。
横の彼、寝そうだし。
ってかなんでわざわざ隣のベッド使うかなぁ…笑
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作者名:みにむ | 作成日時:2022年4月2日 15時