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不思議な話−hk.in ページ30

(side−深町)
(in−高槻、hk−本人、の変な設定)

(大丈夫でしたらどうぞ)







深町尚哉は非常に困っていた。
だがそれ以上に困っている人間が目線の先にいた。

「えっと…だから僕は君の言う"いのちゃん"じゃなくて、」
「知ってるよ?でもいのちゃんなの」
「う〜ん…」

バイトの連絡があったから来たのだが、研究室のドアをノックしても返事がなかった。でも鍵も掛かっていなかったため、どうしたのかと開けたらこれだ。

先生は自分の椅子に座っていて、その正面にあるソファに誰かが座っていた。

「困ったなぁ…あ、深町くん!」
「げっ、」

第三者の介入に目に見えてほっとした顔の先生は、おいで、と俺に向かって手招きした。

「…何事ですか」
「ちょっとね…」
「…だれ?」

こっちのセリフである。

「八乙女くん、彼は深町くん。君の1つ上だよ。…で、深町くん、彼は八乙女くん。1年生の子だよ」
「はぁ」
「じゃあ先輩だ。はじめまして」
「初めまして」

にこにこと人懐っこい笑顔を浮かべた八乙女という生徒は、軽く挨拶を交わすとすぐに先生に視線を戻した。

「深町くん、ちょっとお願いがあるんだけどいいかな?」
「なんですか」
「僕と一緒に彼の話を聞いてほしいんだ。バイトとは別件なんだけど…いい?」

頼めるかな、と伺うような顔でこちらを見遣る。
なるほど、つまりこの生徒が嘘をついていないか確かめてほしい、と。

「いいですよ」
「本当?ありがとう!じゃあ…あぁ、ごめん、飲み物を出してなかったね。深町くんはコーヒーでしょ?八乙女くんは何にする?」

いつもの如く、選択肢とともにココアを勧める先生。そんな様子をにこにこと眺める八乙女くんは「いのちゃんは?」と答えた。

「…八乙女くん、そのことはこの後話すから、今は出来れば"先生"って呼んでくれないかな?」
「…そっか、今先生だもんね。いいよ」
「ありがとう助かるよ。それで、八乙女くんはどれがいい?」
「いの…先生は何飲むの?」
「僕は勿論ココアだよ!」
「…ちなみに先生のココアは凄く甘いから、」
「えっ?……い…先生、甘いもの好きなの?」

何故かとても驚いている八乙女くんは、先生に「そうだよ」と返されると少し悲しそうに笑った。

「…そっか。あ、俺はコーヒーがいいかな」
「オススメはココアだよ?」
「あ〜……ふふっ、そんなにオススメならやっぱり俺もココアで」

その返事に満足気な顔をした先生は鼻歌でも歌いそうな勢いで飲み物の準備を始めた。





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しろみ(プロフ) - おこげさん» 嬉しいです〜!こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!! (2022年2月1日 23時) (レス) @page9 id: a728324ea6 (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - hkinが大好きなのですが、どのお話も素敵でニコニコしながら読ませて頂きました!素敵なお話をありがとうございます! (2022年1月29日 18時) (レス) id: ec6c8a8fda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろみ | 作成日時:2021年11月29日 13時

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