冬の朝の話−hkin.inhk ページ28
(side−in)
(リアル)
アラームが鳴るより随分と早い時間、珍しく目が覚めた。
(……トイレ…)
シンとする寝室の中、寒さに耐えながら何とか布団を抜け出して手洗いへ。
用を足して、さぁもう一度寝ようかなと寝室に戻ったとき、外が変に静かなことに気付いた。
この季節に外が静かってことは、とベッドを通り過ぎてカーテンに手をかけた。
「わっ」
窓の向こう、目に入ったのは白銀の…とまではいかないけど、真っ白な景色。
「すご、積もってるじゃん」
寒いのは嫌だけど、雪は好きだからテンションが上がる。
ひかるも喜ぶかな、と今が何時なのかも忘れて、まだ眠っているひかるを起こそうと振り返る。
「ひ〜か〜…あら、」
名前を呼びながらベッドを覗き込むと、何やらもぞもぞ。
何をしているのかと暫く観察すると、何かを探すように何も無いシーツの上を腕が動いている。
ひかるの横、さっきまで俺が寝ていた空間。
「え〜なにそれかわい…」
堪らず、ベッドの枕元に放ったままのスマホを取り、カメラアプリを起動する。
ポンッという音と共に、撮影が開始された。
「ん〜…んぅ〜?」
俺が見つからないのか、唸りながらもぞもぞ。
うんうんそうだよな。いつもはひかるの方が早起きだから、横に俺が居るはずだもんな。
「ん"〜…」
ぎゅっと眉間に皺を寄せながら、まだ俺を探すひかる。
可愛いなぁ。
可愛いけど、そろそろ俺、寒いかな。
「…んぃ、ちゃ?…の、ちゃ…め、」
「エッ」
「ぁめ、…まっ、」
……え〜何それ何それどんな夢見てんの!!?
"だめ"とか"待って"とか何それそういう系!?
俺とひかる、お互いがお互いのこと可愛いし格好いいと思ってるから、そういう事する時の上下もその日の気分で、被ったらじゃんけん。
狼なひかるも格好いいけど、ひかにゃん可愛いんだよなぁ〜。
ってことは今ひかる夢でひかにゃんなのかな。
え〜可愛い撮っといて良かった!
「ん"〜…」
1人脳内で騒いでいる間も、ひかるは顰めっ面で腕をもぞもぞ。
わかったわかった、とスマホの録画を止めてそのまま枕元へ放る。
雪はそんなすぐに溶けないだろうし、折角探してくれているから応えてあげよう。と布団を捲った。
.
97人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろみ(プロフ) - おこげさん» 嬉しいです〜!こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!! (2022年2月1日 23時) (レス) @page9 id: a728324ea6 (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - hkinが大好きなのですが、どのお話も素敵でニコニコしながら読ませて頂きました!素敵なお話をありがとうございます! (2022年1月29日 18時) (レス) id: ec6c8a8fda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろみ | 作成日時:2021年11月29日 13時