チョコの話−inhk ページ24
(side−hk)
(リアル)
「はいいのちゃん、あ〜ん」
「ん〜?あ〜…あにこえ?」
「チョコ」
「ちょこ?あんえ?」
「ははっ、全然何言ってるかわかんない」
甘ぁ…ともごもご口を動かすいのちゃんに1回キスしてから自分も箱からチョコを取り出して口に含む。
確かに甘い。
「いのちゃん今日バレンタインなの忘れてるでしょ」
「あ、今日そっか」
忘れてたなぁ、あんまチョコ食べないし。
確かに、いのちゃんは甘いの得意じゃない。
それは分かってるけど、今日はどうしても食べて欲しかったから。
「一応ビターチョコで作ったんだけど…美味しい?」
「うん、甘いけど美味しい」
「ならよかった」
「ひかるが作ったものは全部美味しい」
「ははっ、ありがと」
もう一個食べる?と箱を差し出すと、食べるけど先にお茶。と俺の膝から体を起こした。
「てか今ひかる、しれっと食べたよね?」
「俺が作ったんだから俺も食べる権利あるもん」
「俺の分減っちゃう…」
「家にまだあるから」
「やった、じゃあ今日行こっと」
流れるように家に来る約束をして、お茶を一口飲むとまた俺の膝に頭を乗せた。
あ、と口を開けるから、また1粒取り出して放り込む。
お、いちごだ。ともごもご動かす口にまた唇を重ねる。
「ふへへっ、ちょこかえうとひかうにきゅーしけおあえう」
「何言ってんのか全然分かんないわ」
「ん〜…、チョコ食べるとひかるにちゅーしてもらえる」
「はははっ!別に言い直さなくていいよ!」
律儀に言い直したことを笑うと、じっ…とこちらを見つめるいのちゃん。
そのままのそりと起き上がる。怒らせたかな?
でも別に機嫌を損ねた感じはしないし、どうしたのかと首を傾げていると、徐にチョコに手を伸ばした。
「…はいひかる、あ〜ん」
「え、いいの?いのちゃんの食べる分無くなるよ?」
「いいからいいから、あ〜」
「あ〜」
仕切りによって4つ入る形状になっている小箱。
チョコレートはいのちゃんが2つ食べて俺が1つ食べたから、残りは1つ。
「俺の分減っちゃう」って言ってたから、最後の1つもいのちゃんに食べてもらおうと思っていたけど。
それを言った本人に「食べて」と差し出されたから、そのまま口に含んだ。
「美味しい?」
「ん?うん、んむ、」
ちゅ、とリップ音がして、離れる顔は非常に満足気。
なるほど、これがしたかったのか。
ふふっ、と笑うとまたお茶を1口飲んで寝転ぶ。
触り心地の良い髪を撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。
.
97人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろみ(プロフ) - おこげさん» 嬉しいです〜!こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!! (2022年2月1日 23時) (レス) @page9 id: a728324ea6 (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - hkinが大好きなのですが、どのお話も素敵でニコニコしながら読ませて頂きました!素敵なお話をありがとうございます! (2022年1月29日 18時) (レス) id: ec6c8a8fda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろみ | 作成日時:2021年11月29日 13時