夢の話−hkin ページ16
(side−in)
(リアル)
よく夢を見る。
�睫擇�歌にした夢に少し似ているかもしれない。
特定の誰かと、幸せに過ごす夢。
違うのは、その相手が誰なのか分かっていること。
夢の内容は、日によってまちまちだけど、大体は謝罪から始まる。
｢冷たくしてごめんね｣
｢ふふっ、うん、いいよ｣
｢ほんとは沢山話したいんだけど、上手くいかなくて、｣
｢うん、大丈夫だよ｣
｢ごめん、嫌わないで｣
｢嫌わないよ。絶対嫌わない｣
｢本当は大好きなの｣
｢嬉しい。俺も大好き｣
｢ほんと？｣
｢ほんと｣
そう言って、最後にはお互いに抱き締めて笑う夢。
現実では有り得ない、凄く幸せな夢。
スマホから流れる目覚ましの音で目を覚ます。
今日は土曜日だから、情報番組のロケとラジオだ。
覚醒する直前、あぁ俺は今泣いてるな、と思いながら目を開いた。
あの夢を見ると毎回こうだ。
幸せで幸せで涙が出る。それが夢なことにさらに涙が出る。
夢の相手は、現実では俺のことが好きではない。
だって、あちらにはいつも横に同じ奴がいるから。
それは特別な人だ。ずっと見ていたから分かる。
間には入れない。
だからあの夢は、俺の願望の塊。
滞りなくロケを終え、そのままラジオ収録に向かう。
｢…行きたくねぇなぁ｣
車内で、マネージャーに聞かれないように呟く。
毎回思うのだが、あの夢を見た日に二人になるのはとても嫌だ。
｢あ、いのちゃんおはよう｣
｢おはよ｣
｢ロケ終わり？｣
｢うん｣
｢ふ〜ん、おつかれ｣
ラジオ前の会話なんてこんなもん。
ラジオで話す内容が無くなるというのもあるが、そもそも会話が少ない。
これが俺じゃなかったら＿薮だったら、きっと話題が尽きないんだろうな。
だって2人はシンメで、運命で、この先もずっと一緒にいるんだから。
分かっていても悲しくなる。
特に今日は夢を見てしまったから。
もう少し話をしてくれてもいいじゃないか。
夢では謝ってたのに。冷たくしてごめんって言ってたのに。
やっぱり現実のひかると夢のひかるは違う。
あれはやっぱり、俺の願望の塊だ。
｢いのちゃん？どうかした？｣
｢…なんでもないよ｣
突っ立ったままの俺をひかるが不思議そうに見る。
ひかるの横が空いている。夢だと俺は、躊躇いなくそこに座る。
現実では、少し離れた場所に座った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろみ(プロフ) - おこげさん» 嬉しいです〜！こちらこそ読んでいただいてありがとうございます！！ (2022年2月1日 23時) (
レス) @page9 id: a728324ea6 (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - hkinが大好きなのですが、どのお話も素敵でニコニコしながら読ませて頂きました！素敵なお話をありがとうございます！ (2022年1月29日 18時) (レス) id: ec6c8a8fda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろみ | 作成日時：2021年11月29日 13時
