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「あ、ちゃんおはよ!」
「!?…あぁ、おはよう大ちゃん」
「珍しい〜今日こっち?」
「ん〜ん、ちょっとぉ…用事?」
「ヒカ?」
「まあ…でも別にいいやって思ってたとこ」
「ふ〜ん?まぁいいや」
不思議そうな顔をした大ちゃんは特に追求してくることも無く、そのまま楽屋ドアを元気に開けた。
「おはよー!ヒカぁ〜いのちゃんが用事だって!」
「ちょっ、」
「おはよぉ〜、いのちゃん?」
「楽屋の前に立ってたよ、ほら」
「ほんとだ」
ソファから立ち上がり、近付くひかる。
用事ったって、大したことじゃない。
ただちょっと…欲と苛立ちが顔を出しただけで。
さっきだって、部屋を出てドアの前に立つまでの間に冷静になっちゃって、引き返そうかと思ってたとこだったのに。
「いのちゃん?どうしたの?」
「や、あの、」
「なんかあった?」
だいたい、ひかるはもうやぶと喋ってなかったし。
「な、なんでもない!」
「えっ、ちょ、」
ん?と優しい顔で覗き込んでくれるひかるに居た堪れなくなって、逃げるように楽屋に戻った。
「え、ど、どうしたの伊野尾くん?」
「なんでもない!」
「いのちゃん!」
「ぎゃっ!!」
今閉めたばかりのドアが開けられ、廊下に置いていったはずのひかるに腕を掴まれる。
「あんな、何かあります!って顔しておいて逃げないの!」
「に、逃げてないし!」
「ほら、どうしたの?わざわざ来たってことは夜じゃダメなんでしょ?」
「いや、う、うぅ、」
「え、光くんと薮くんになんかあったんじゃないの?」
「俺と……薮に?」
それを聞くと暫く逡巡したひかるは、「ちょっと外してもらえる?」と、たかきを隣の楽屋へと追いやった。
「薮関連なら尚更ちゃんと聞いとかないと」
あいつが1番いのちゃんのこと困らせるから。
そう言うとさっきまでたかきが座っていたソファに俺を座らせる。
そのまま自分も座ると、ニコリと笑って俺の方を見た。
「ほら、いのちゃん。薮がどうしたの?」
「…や、別に、なにも…」
「"薮が"?」
「ッ、……や、やぶが、」
「うん」
笑いながら掛けられる圧に耐えきれなくて、仕方なく口を割ることにした。
「やぶが…やぶ、に今日…一日、ひかると接触してほしく、ない、というか…」
「薮と俺?いいけど…俺なんかしちゃった?」
「ううん、違う…いや違わない?あれ言ったのひかる?どっち?」
「なに?なんの話?俺なに言った?」
「今日、やぶひか結婚の日」
「…は?」
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しろみ(プロフ) - おこげさん» 嬉しいです〜!こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!! (2022年2月1日 23時) (レス) @page9 id: a728324ea6 (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - hkinが大好きなのですが、どのお話も素敵でニコニコしながら読ませて頂きました!素敵なお話をありがとうございます! (2022年1月29日 18時) (レス) id: ec6c8a8fda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろみ | 作成日時:2021年11月29日 13時