【刀剣乱舞】少女は___。

少女は___34話に。 ページ37

『……すぅ……すぅ』


少女は小狐丸の腕の中ですぅすぅと寝息をたてる
その頬には涙の跡が薄く残っていた


「A……寝ちゃったね」

「……えぇ」


この中で一番少女と付き合いの長い小狐丸は沸々と沸き上がる怒りをどうしようかと考えた

考えた所で、結局は少女を傷付けた一期一振に向ける他なかった


一方、やけに余裕ありげな清光だが内心は悲しみと困惑と憎悪にまみれていた

自分を唯一救ってくれた、正しく神のような存在である愛しい少女を傷付けた一期一振をどう処分しようかと憎悪だけを糧に考えた


一期一振の弟、薬研は誰よりも頭を抱えた

自分をあの闇から救ってくれた少女には感謝してもしきれない程の恩を感じていた

だが、その少女を傷付けたのは自身の兄である、しかし兄は自分や兄弟を守ることで必死だったのも理解できていた

だからこそ、彼を恨もうにも恨めず、かといって少女を傷付けた彼に怒りは感じていた



暫くすると、粥を持った光忠が部屋にやって来た
その後ろを鶴丸と太鼓鐘が入ってくる


「お粥持ってきたよ、食べれる？」


光忠は先程目を覚ました少女に優しく声をかけた


『うん、食べれるよ』


いつものよう笑う少女だが、心なしか覇気がないように思える



光忠の作った粥を平らげた少女は直ぐに眠りに着いた

そしてそのまま、本丸には静かな夜が訪れる

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