赤色の悪夢 ページ3
目の前に散らばる生々しい赤
辛そうに息をする貴方を中心に赤の海が広がる
放心した思考の中脳は理解する
___あの人は死んでしまう___
「っ!……Aさん!」
自分があと少し早く来ていたら、自分がAさんの側を離れなければ、自分がもっと強ければ、柱になったことで浮かれなせれば
血を流すAさんに駆け寄りながら、ぐるぐるとそんな考えが回る
Aさんは少し苦し気に眉を歪めながら、血の垂れる口で弧を描いた
『杏寿郎、言いたいことがあるの……』
「Aさん喋らないで下さい!傷がっ……血がっ!」
1人慌てる俺の頬に、Aさんの血の着いた細く白い手が当てられる
Aさんは尚も微笑んでいる
『聞いて杏寿郎……私のお願い』
『私はもうすぐ死ぬ』
「そんなこと言わないで下さい!」
『私だけじゃない……貴方も、誰もが必ず死ぬ……これは変えることの出来ないことよ……ねぇ杏寿郎』
Aさんは柔らかく笑い、俺の頭をゆっくりと懐かしむように……終わりを告げるように撫でる
『貴方は強くなった、もう私が居なくても1人で歩んでいける……本当に強くなって……誇りに思うわ、私の自慢の弟子よ……』
『……私が死んで、悲しむことを許します……けれどいつまでも引きずる事は絶対に許しません、いくら貴方が悲しもうが、動けなくなろうが……時は貴方を待ってはくれないのだから』
『自分に誇れる生き方を、胸を張って生きれる道を歩みなさい……そして辛いとき、苦しいとき……側で寄り添ってくれる人を見つけなさい』
『……ねぇ……杏寿郎、______……』
「嫌だ……嫌です!死なないで!」
Aさんは最後まで
憎たらしいほど美しく、愛らしい俺の好きな笑顔を浮かべていた
……貴方の体から、体温が消えた
それとは対照的に俺の頬をなぞる滴は暖かい
___貴方の血濡れた唇に重ねた自身の唇の温度は……___
·
·
·
「はっ!!」
パチリと目が覚める、見えるのは自宅の白い天井
汗で張り付いた服が気持ち悪い
「はっ、はっ……夢、か……くそっ」
「……Aさん」
___ごめんなさい___
……そんな台詞、聞きませんよ
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Frozenheart_99(プロフ) - 月明かりと紅色さん» 愛念のある作品の作者さんのお力になれたのなら、感慨深いです!これからも応援しています! (2019年8月15日 3時) (レス) id: b1cd95b247 (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - Frozenheart_99さん» コメントありがとうございます!勉強になりました!本場の方にアドバイス頂けるのは大変嬉しいです、これからも関西弁で可笑しな所があってもなくてもコメントしてくださると作者の励みになります! (2019年8月14日 0時) (レス) id: ce1b07ed69 (このIDを非表示/違反報告)
Frozenheart_99(プロフ) - 何時も愛読させて頂いてます!私関西の人間なんですけどしばくって言うのは殴る蹴るなどの暴行よりは「あんた〜ええ加減にしなしばくで〜笑笑」って感じですかね!殴ったり〜で大丈夫だと思います!口出しすいません!関西弁をわざわざ使って頂けるのが嬉しくてつい… (2019年8月14日 0時) (レス) id: b1cd95b247 (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます!そうですよね、私もそんな煉獄さんのギャップに悶えた人です!これからも不器用ながらに頑張りますので、ぜひ彼女彼らの未来まで見てくださるととっても嬉しいです! (2019年7月23日 22時) (レス) id: ce1b07ed69 (このIDを非表示/違反報告)
紅(プロフ) - 煉獄さん凄く格好良くって、でも時々天然で可愛い所もあって凄く良いですよね!!続き楽しみにしていますね!! (2019年7月23日 18時) (レス) id: 5c635e6563 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月明かりと紅色 | 作成日時:2019年7月2日 21時