lonely - 番外編 (ページ48)

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伊野尾side

涼「…っ、どこいくの」

伊「ん？…座り直しただけよ。どこもいかない」

涼「……ぅん」

伊「うん。」

休憩室でまったりコーヒー飲んでたら、可愛いお願いが届くんだもん。

忙しくて側にいられない大ちゃんと…夜まで仕事の高木に代わって、俺は午後の診療を飛ばして病室に篭りっきり。

救急車沙汰になったんだもんね、そりゃ不安になっちゃうのも当たり前。

涼「…ち、とまるかな……」

伊「そのうち止まるよ。だいじょーぶ」

涼「…、……」

伊「いつも飲んでるお薬が血さらさらにしてくれてるからね、ちょっとだけ止まりにくいけど俺が抑えてるから心配いらないよ」

涼「……おうちかえれる？」

伊「うん。帰れる。」

震えた声はなかなかなおらなくて、繋いでくれてる手が何度も握り返されて。

涼「…、こわい」

伊「そうだよねぇ……」

きっと怖さの正体はいつ襲ってくるかわからない発作のことで、体は疲れているだろうに目を瞑っては開いての繰り返し。

うーん……点滴も入ってるし、頓服薬も手元にあるからすぐ助けてあげられる状況ではあるけどな……。

涼「……いのぉちゃん、ここきて…」

伊「ん？」

涼「こうしてたら…ほっさこない……」

ぱっと手を離したかと思えばお布団をとんとんっと叩いて、指示された様に腰掛ければそのままよいしょと登ってくる涼介さん。

ん？…と思っていたらいつのまにか抱っこしていた。

伊「疲れない？」

涼「うんっ……こっちのほうがいい…」

伊「そ？…なら良いんだけど。」

背中を一定のリズムで叩きながら、前後に揺れてみたりしちゃって。まるで小さな子を寝かしつける時の親みたいなその時間。

ふと肩に乗った顔を覗き込んでみると、すっかり夢の中だった。