lonely - 番外編 (ページ30)

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side*高木

伊「…ふぁ……」

辺りはもうすっかり暗くなった深夜

泊まる予定だったホテルのキャンセルを済ませてくれた伊野尾くんは一日の疲れが響いたのか眠そう。

伊「点滴いれたら落ち着いたって」

高「良かった」

酸素濃度が幾つで、熱が何度あって、どんな様子で…

数分おきに入ってくるメールを読み上げるそれに、ほんの少し前までとを比較し少しだけ安心する

伊「もう着く？」

高「うん」

そこそこの総合病院の救急科は有難いことに24時間体制で。

光くん達も着いてくれては居るだろうけど、きっと見知らぬ医者の処置を受けた涼介はまた少し成長をしたんだな

高「暗いから足元気をつけて」

夏とは言えこの時間帯ともなれば少し肌寒く、上着を羽織る伊野尾くんの背中を追っかけると薄暗い院内へと足を進める

伊「ここかな？…失礼しまーす」

指示された場所へ行けば、疲れ果てた有岡くん達の傍で点滴が何本か吊るされていた涼介が丁度目を開けた。

高「ただいま。遅くなってごめんな」

涼「っ、…泣」

伊「頑張ったね。」

抱っこ、とせがむ身体を抱き寄せ周囲を起こさないよう膝の上に乗せればひくひくと背中が揺れる

ぽいっと取った酸素マスクは見逃してやろう。

伊「ふふ、安心したんだね」

高「寝た？」

伊「ん。」

どんな時でも1番近くに居ることは難しいかもしれない

でも、守ると決めた小さな彼は大きく成長したと同時にまだその "1番" を信じてくれている。

だからこそ、どんなに忙しくてもいつだって駆けつけるし、たとえ "会いたい" の4文字でもそれに従うんだと思う

涼「…ぉかえり」

高「寝言？」

伊「たぶん」

涙で濡れた肩が少し冷たかった。

《異例の事態》fin...