lonely - 番外編 (ページ20)

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side*有岡

「ちょっと手伝って、」

涼「…暇じゃない」

有「どう見ても暇そうなんだけど」

久しぶりに遊びに来た珍しい顔に周りの看護師がざわつくと、ナースステーションで堂々と顔を伏せる涼介

裕翔から事を全て聞けば涼介も成長したね、なんて笑いあって。

涼「折り紙なんてやる歳じゃないもん」

有「やりたいくせに」

輪っか作ってのりはるだけで良いから！…なんて言えば渋々手伝ってくれるんだもん、ほんと可愛いやつ。

涼「鶴作る」

有「千羽ね」

涼「無理」

単純な作業に飽きたのか途中切り紙や創作物にも手を出すと、ロビーに飾りつけるところまで素直にお手伝い

涼「あ、これ書く」

有「珍し。」

ロビーに飾られた大きな笹飾りを見て、短冊を手にした涼介は真剣な顔でペンを走らせるから暫く見守って

後ろからの気配になんか気づかず、「できた！」と満足そうに笹に吊るした。

「ふふ、ありがと」

涼「っ…… へ？」

伊「"いのおちゃんが早く良くなりますように"」

満面の笑みで読み上げる伊野ちゃん、まさか見られると思っていなかったから…と顔を真っ赤にする涼介

それを微笑ましく見守る高木と裕翔……と俺。

涼「…も、大丈夫なの？……まだ熱いじゃん」

伊「熱はあるけど楽になったよ。お待たせ、帰ろっか」

七夕のお願い先は織姫

こんなに早く涼介の願いを叶えてくれてありがとう

高「耳まで真っ赤だぞ、熱あるんじゃない？笑」

涼「もうっ、…ゆうやのばか！」

高「今夜は素麺だな」

伊「…食べやすくてありがたい」

その後、俺らまでお邪魔したなんて言うまでもないね

行事食って何故か不思議な力を感じるもので

涼「今日大ちゃんと裕翔泊まってくって！」

有「誰もそんなこと言ってねぇよ笑」

中「俺は明日休みだけど」

涼「決まりね」

ぎゃーぎゃー騒いでは高木に怒られ

夜になればまた少し上がってしまった伊野ちゃんの体温を気にして早めの消灯で

涼「…早く治してね」

伊「ありがとう」

何故か長く感じた1日

太陽沈んだね、と安心したように涼介が呟いた

『不安と怖さと想い出と』fin...