lonely - 番外編 (ページ16)

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□ 不安と怖さと想い出と* ページ16

side*涼介

土曜日の朝

甲高い電子音が部屋中に響き渡る

"リビングで少し待ってて" なんて雄也に言われて早数分、朝起きて挨拶を交わす時間が無いってこんなに寂しいんだ……

涼「……ゆぅや、」

高「ん？…あ、来るならマスクしておいで」

涼「…ん、」

昨日の夜から具合が悪そうだった伊野尾ちゃんは、朝から高い熱が出ちゃったみたいで

…うつると大変だから、って接近禁止令が出された。

涼「…、……大丈夫？」

伊「……ん、ごめんね」

高「留守番頼むな。何かあったらすぐ電話してくれていいから」

涼「…うん」

お留守番も初めてじゃないし、一人の時間を潰すのは得意分野だけど唯一頼れる大人が弱ってるんだもん…

今日も無事に太陽が沈むのかな…って少し不安

高「寂しくなったら我慢しないこと。俺が出なかったら有岡くんか裕翔にも助け求めれば良いから、分かった？」

涼「…ん」

高「おいで」

誰かに頼るのは苦手

みんな忙しいのに、僕の寂しいなんか……

涼「……ぐすっ、…」

高「今日だけ伊野尾くんの事任せてもいい？」

涼「…がんばる」

"熱上がったりしんどそうだったら教えて？"

ぎゅっ…と抱きしめてくれた身体が離れていくと、何だか寒くて仕方なくて。

そっか、今度は僕が助けてあげる番なんだ

涼「行ってらっしゃい」

そう見送って1時間

寝室の伊野尾ちゃんは物音一つ立てずに寝ているみたいで、暇つぶしに進めていたゲームに一区切りが着いた頃

涼「…喉乾いてないかな、……」

熱が出た時は水分補給が大事だっていつも言われるから、マスクで防備しながら伊野尾ちゃんの元へ

伊「…ん、？」

涼「飲む？」

伊「…、…ありがと」

ドアを開けるちょっとした物音で起こしちゃって、でも顔が見えた瞬間にこっと微笑んでくれた顔に安心して

"退屈してない？" の問いかけにはイエスと答えた。

伊「おっきくなったねぇ……」

いつもなら、やめてよって振り払う撫でてくれる手も今日だけ許してあげる