みにまむ ７２ ページ32
「これはもう告白するべきだね！」
「ハードル高くね」
今日日直だったお茶子ちゃんのお手伝いをしていると、唐突にそんなことを言われる。
ほんと…なんなの最近……
「だってさぁ」
「うん」
「二人で一緒にいると胸がどきどきしてー…」
「うん…」
「それで、顔が熱くなってきて」
「うん？」
「好きなんでしょ？」
「うん！！？」
待って話ぶっ飛びすぎ！！いきなり好きに飛ぶ？
生まれてこの方告白なんてしたこともない私には大変すぎるよ…
「もういっそのこと、上鳴君をちっさくして、追いつめればいいんだよ」
「それから一週間元に戻らないんですがその」
できれば個性だけは使いたくない…
自分の感情に気付いちゃった今じゃ、二人きりの環境で耐えられるはずがない。
「ほら、あそこに上鳴君いるから。頑張ってね！」
廊下の奥にいる上鳴君に近付けるように、お茶子ちゃんは私の背中を押す。
…いや、押してない！！意図的に個性使って浮かせてきてる！
びっくりしてお茶子ちゃんの方を振り返るともうその姿はなく、親指を立てた指だけが見えた。
無理無理無理！！！
「あ？なんでAがまだ残ってんの？」
「ええええーっとですね…お茶子ちゃんの日直の仕事を手伝ってたというかなんというか…」
「そうなのか！戻らなくてもいいのか？」
「ああ……んーと、なんか一人で出来るらしくて…」
ははは、と乾いた笑いを後に乗せて言う。どうしてだか自分がみじめになる。
心臓はばくばくとリズムを刻んでいて、きゅっと握った手にはじわりと汗がにじんでいる。
「俺、実は待ってたヤツがいるんだ。まだ帰らないんだったら、話しねぇ？」
「うん、いいけど…その待ってる人って待ち合わせ場所違ってたりしないの？」
だってここは、階段の近く。
帰る約束をするのだったら、昇降口で待っていればいいのに。
「大丈夫、だってもう来たから」
「え？？ごめん、視力下がったかもしんない」
「いや、そういうことじゃねーよ！なんで空回りすっかなぁ…」
「なんかごめん！！」
階段の先にも、廊下にも。
本当に誰も来ていないはずなのになぁ
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作者名：真裏 | 作成日時：2017年11月11日 0時
