みにまむ ６８ ページ28
どうしよう、どうしよう。
今まで冗談を言い合える(心操君は冗談じゃないかもしれないけど)仲間だったのに。
わからない。
私は今、心操君のことをどういう目線で見てる？
毒舌な元クラスメイト？
風邪を心配して家に訪ねてきてくれる優しい友人？
それとも…ヒーローを目指す普通科コンビ？
ここまで考えても『恋愛感情』の類のものは出てこなかった。
それに気が付いたとき、彼には物凄く罪悪感を覚えて、窓から飛び降りたい衝動に駆られた。
確かに、思い返してみても心操君にときめいたりはしてない。
良い奴で止まっている。
話して楽しい友人で止まっている。
どうルートを辿っても、心操君と恋人になるのは考えられない。
「…ごめん」
「はは、だよな。知ってたさ。」
心操君は子供が見せるような顔をしてそう言ってみせた。
本当は胸が締め付けられるような痛みに襲われているんでしょう？
「どこからどう見ても、有栖と上鳴はお似合いだ。
俺なんかじゃどう頑張っても追いつけないくらいにな」
そんなの、まるで自虐だ。応援じゃない。
「ごめん…心操君……ごめん…」
こっちがみじめになってくるじゃないか。
私は彼の告白を受け止めれなかった。
彼は私に告白を受け止めてもらえなかった。
圧倒的に彼の方が苦しいはずなのに。
「有栖が泣いてどうするんだよ…大馬鹿者」
「ごめん……ごめん…」
「あー、ダメだ。貰い泣きしそう。俺は笑ってる時の有栖の方が好きだ」
彼の口から『好き』という単語が出てくるだけで胸が痛い。
でもこれは恋の痛みじゃない。
「有栖はまだ気づいてないみたいだが…お前は恋をしている」
「そんなこと…私の身に起こるとは……」
「ま、相手は言わねえが……俺は、応援…してる。」
「ん…ん？ありがとう…」
出来れば教えてほしかったが、彼にとっての教育なんだと思う…
私、心操君に教育された覚えないけど。
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作者名：真裏 | 作成日時：2017年11月11日 0時
