距離感【稲荷崎】

（４５）少年少女 ページ46

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『ん…』





ぼんやりとする意識の中から、ゆっくりと目を開ける





『…ぁ、…え』







なんとなんと、聞いて驚け見て笑え(？)




目の前に整ったお顔立ち。侑くんがいた



その距離たぶん10センチくらい。すーーごく近い






でも侑くん寝てる。私を保健室に運んでくれた後に寝ちゃったのかな。授業サボりたかったのかな





(起こした方がいいのかな…？んや、でも、)








──もうちょっと、寝顔見ていたいなぁ








じーっと見ていると、視線が耳の方へ行く





(寝てるからバレないかな。ちょっとだけ…)






スっ…と手を伸ばして優しく触れる



耳ってやっぱり触り心地が良い───







パチッ






『あ、起きちゃった』


「ん…？お、おわああ！！」


『あははっ、なんちゅー声』







顔が近くてびっくりしたのか、叫び声を上げながら飛び退く侑くん

その反応が面白くて思わず笑っちゃう






「な、な、な…！！起きてたんやったら起こせや！！」


『えーだって、侑くんの寝顔が可愛かったもんだから離れたくなくって』


「そ、そないなこと簡単に言うなや！！」


『ごめんごめ、、ふふっ』


「わろとんな！」






かあ…！と顔を赤くさせてる侑くん



けどすぐに「体調どうなんや」って聞いて心配してくれた




ぐっすり寝たのか、頭のくらくらとする感じは全くない。つまり元気





『運んでくれてありがとう』って言ったらあれぐらい当たり前やって言ってた。

照れてたくせにーと揶揄うとどやられた。へへっ




保健室の中を見渡すと、先生もいない





『今時間的に授業中だよね？侑くんここにいて良かったの？あ、サボりたかっただけ？』




さっき疑問に思ったことを聞いた。



けれど、彼は否定して爆弾発言を落としてきた









「ちゃうわ。俺が行こうとしたら服の袖掴んで離さんかったやん」









『…誰が…？』


「Aちゃんしかおらんやん！」






全く記憶にない。

服の袖を…？私が…？侑くんを…？





侑くんの袖を見ると、確かにクシャッとしわになっている部分があった





『ご！め！ん！迷惑だったよね！！ほんとごめん！無意識だぁ…うわぁぁぁ…！！』






運んで貰うだけでなく服の袖を離さなかったなんて、どこかの少女漫画なのか！？少年漫画じゃないのかこれは！？？？





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