距離感【稲荷崎】

（３０）触れる ページ31

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私の手を取ったすなりんは、自分の耳の方に私の手を寄せてそう言った





『…本気で言ってます？』


「うん。別に触られたってどうってことないし」








…なんっなんだ！！このイケメンは！！




距離感の話だが、今度は物理的に。ほんとに近い









いやでも待て。



この機会を逃していいのか私




耳たぶ触っていいって言ってくれてるんだぞ？いつも美羽が嫌々触らせてくれてるのに、この目の前の人は触っていいって、え？？









わかりにくい人に説明しよう


今の私の心境はだな、例えるなら、犬が大好物の食べ物を目の前にして"待て"をされている感じ。

いや、今の私の場合は"待て"をされないで目の前に
放置されてるような感じだ








ぽけーっとしてるとすなりんが顔を覗き込んでくる





「俺の触るの嫌？」


『違うの。今まで触ってきた中で"触っていいよ"とか言われたことなくて混乱してる』


「そんなに嫌がられてたんだ」





オッホホと笑いながら、でも私の手はすなりんの耳の近くにあるまま




『え？いいの？触るよ？』


「どーぞどーぞ」







貴重な機会を無駄にしたくない私


距離感とかそういう考えは今はどっかに行ってしまった








すなりんの背が高いからそのままだとあと少し届かない




すなりんの肩に手を当てて背伸びをして手を伸ばす








『ん、と…』






 







あと、数センチ───









キーンコーンカーンコーン…








『え！チャイムなっちゃったじゃん！！授業始まる！！戻らなきゃ！！！』


「…あ」




伸ばしていた手を引っ込めて、そのまますなりんの手を引っ張って屋上を出た





階段を駆け下りて『ばいばい！』と声をかけてそれぞれの教室に飛び込んだ




幸い、私のクラスで授業担当の先生がまだ来てなかっため怒られることはなく良かったのだが









(あとちょっとで触れるとこだったのに…！！)








心残りが激しかった









 






 







((角名顔赤いで。なんかあったんか？))


((…キスされるかと思った…あれはずるい…))


((え、誰と… 、っま、まさか))


((あーやば。俺今幸せ過ぎて死にそう))


((まじで許さん。帰り詳しく聞くからな))





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過去最高9位!!???

ありがとうございます！！嬉しい！！感謝！！




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