距離感【稲荷崎】

（２２）呼び方重要 ページ23

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そうこう話しているうちに家に着いた




『宮くん』


「「なんや」」


『あ、…』






…そうじゃん！私今まで金髪の方と話したこと無かったから治くんのこと"宮くん"で通してたけど2人揃ったらダメじゃん！！





…いやいい。
金髪の宮くんとはこれっきりだと思うし、いいや。




自分の中で割り切ってそう決めた。うん。





『私、家ここだから。送ってくれてありがと』


「ほんまに近いんやなぁ…。どういたしまして」


「え、ここなん？学校まで全力で走ったら一分でつくやん。寝坊し放題やん」


「おいツム、お前は考え方が幼すぎるわ」


「はぁ！？」


(うわぁ…一日に何回喧嘩するんだろうこの2人…。やり取り見てて飽きなさそう…)






あ、そういえばバレー部名物の双子の兄弟喧嘩見てないなぁ…。

モブってほぼ野次馬と一緒だし、美羽誘って見に行ってみようかなー…(思考時間一秒)







『家の前で喧嘩しないの。じゃあ2人も気をつけてね！またね〜』


「おん、またな」





ヒラヒラと手を返してくれるのは金髪宮くん


あれ、？どうした銀髪宮くんなんか固まってる







「…ちょっとツム先行っとれ」


「えー、はよ来いやー」


「分かっとるから」




すると宮くんは帰りかけてたのに私の目の前まで戻ってきてこう言った





「俺の事下の名前で呼んでや。ツムとややこいやろ」


『へ？あ、うん。……治くんね』


「…おん、じゃあまた」


『うん』








今度こそ手を振り返してくれた宮くん、改めて治くん





ガチャりと玄関を開けて家に入った








そして








『うああああ！！！』





玄関で頭を抱えて叫んだ






「ちょっとA、まずは"ただいま"でしょ〜」


『ただいまああああ！！！』


「おかえりなさい〜」


『うちの家ちょっとおかしくて嬉しい』








階段を上がって自分の部屋に入る。
そしてへにゃへにゃと座り込んだ








とうとう下の名前呼びまで来てしまった私。





今日だけでかなり近づいてしまった、距離感









(誰か私にモブの距離感を教えてくれ…！！)








…そんな私の願いは届くはずもない。









 









((角名、おれも連絡先交換したで))


((え、いつ))


((片付け抜けて忘れ物取りに行ったとき。ほんで帰り送ってった))


((…抜け駆けしてるのどっちだよ))


((フフ、ええやろ？…ツムに邪魔されたけど))


((あ、そ。ならいいや))


((なんやねん))





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