距離感【稲荷崎】

（１９）本音 ページ20

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ほへー…と思わず見とれてると、「ぼーっとしてやんとはよ交換しよや」って急かされて新しい友達のところにまた一人追加された





ピコンｯ







『あ、狐のスタンプかわいい』


「せやろ？これお気に入りやねん」







交換して、"よろしく"と書かれたスタンプを送ってきてくれた






 









あーーやだ



関わりたくないって思ってたのに







_____少し近づけて嬉しい自分がいる








 









『…って、宮くん部活大丈夫？』




私が宮くんと話し始めてから時間が経ってることに気づく。宮くんはスマホで時間を確認してサッと青ざめる





「あかん…！片付け抜けて忘れ物取りに来てたんやった、はよ戻らな！」


『はーい怒られにいってらっしゃーい』


「うっさいわ…俺らの主将、ほんま怖いんやで……」






うん。知ってる(笑み)
あの正論パンチ食らってきなさい(満面の笑み)





そんなこと知らないという風に装って、はよ行けと催促する。はぁーとため息をつきながら駆け出す宮くん






…これで終わりかと思いきや、彼は去り際にとんでもないことを言って去っていった




 





「遅いから帰り送るわ、玄関で待っといてやー」


『………いやいやいやいやいやちょっと待て！！』







宮くんの言葉を理解して止めようとした時には時すでに遅し。



彼の背中はもう見えなかった





『えぇ…私家近いのに…』





そんな呟きは聞こえるはずもなく虚しく廊下の風と共に流れ去った









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