(23)ここにいるから ページ25
.
そうとも知らず、その後Aは薬を伏黒に渡して、それを飲むのを見届けると立ち上がった
『あとは薬が効いてくるの待つしかないから、少し時間が経ったらまた来るねー
その間ちゃんと寝とくんだよー?』
『じゃあ、』と言って部屋から出ていこうとするAの手を、伏黒は咄嗟に掴んだ
「…もう、行くんですか」
『…え?』
「まだ………」
"まだここにいてください"
その言葉を途中で飲み込んだ
掴んでいた手に少し力を込め、そしてすぐにまた力を抜いてそっと離した
「…すみません」
そう謝って、布団を深く被りAに背を向けた
疲れているだけ、少し頭を冷やそう、と目を閉じ、今したことは無かったことにしようと眠りに落ちようとした
しかし、一向にAが部屋から出ていく音が聞こえない
耳を澄ましていると、ベッドの横に椅子が置かれる音がした
そしてそれに誰かが座る音
「…なんで」
『…いやー、お恥ずかしいことに看病の大事なことを忘れていた…
そりゃ高熱出たら誰かにいて欲しいものだよね、だって心細いもん。私も誰かいないとやだ』
『だからね、』とAは伏黒の頭に手を伸ばし、そっと撫でる
『しんどかったり何かして欲しいことがあったらなんでも言って。ここにいるから』
「…仕事大丈夫なんですか」
『大丈夫大丈夫。硝子さんいるし』
「…すみません」
『うーん、その言葉よりありがとうの方が嬉しいなぁー?』
「…!…ありがとう、ございます」
『ふふっ、いえいえー』
『おやすみ、恵』と優しく笑う声に、伏黒が眠りに着くまでの時間は短かった
.
1433人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほやっく(プロフ) - souさん» コメント嬉しいです〜!!読んでくださりありがとうございました!!! (2022年1月23日 10時) (レス) id: f8046942e5 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様です!私も恵くん大好きなのでオチが恵くんでとっても嬉しかったです!! (2022年1月22日 21時) (レス) @page40 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほやっく | 作成日時:2021年3月3日 19時