一番に愛されたい2 ｶﾝﾄｩｸ ページ8
追いかけると、カンインは宿舎の外に出て電話をしていた。メンバーはきっと今日は疲れて寝ているはず。きっと…、僕の知らない誰かと。あんなに楽しそうに話してる。
話の内容が聞きたい訳ではなかった。浮気ではないという、確信がしたいんだ。でも、もし僕の予想している事が、現実だったら…。そう想うと、話が聞こえる距離までは近づけなかった。
しばらく木に隠れていると、もう電話を終えるのか、カンインが宿舎の扉に近づいてきた。話す声が聞こえてくる。
「大丈夫だよ。ははっ、気にすんなって。内緒だからさ。」
嫌だ…、嫌だ。聞きたくないよ。何が内緒なの？僕に隠し事してるの？不安で不安で堪らない。どうか…、友達ですように…。必死で願った。でも、カンインと電話相手の話してる言葉は、容赦なく僕の心を傷つけた。
「バレないって。最近あんまあいつと一緒にいないし。ホントに平気だってばー。明日も会おうよ。ん？イトゥク？今日、一緒に寝とけば大丈夫。なんか言われても誤魔化しとく。」
涙が止まらなかった。不安が現実だったと分かってしまったから。最近泣きすぎだよ、僕。でも、いつもの涙と今日の涙は違う。今日のは…、もう希望がない、絶望の涙だ。
「……うん、わかってるよ。忙しい？ダメ、もう少しなんだから。俺にはお前しかいないんだって。大好き、愛してるー！！キモいとか言わないの！お前は俺のもの！じゃあまた明日。いつもの場所で。今日はちゃんと寝とけよ(笑)おやすみ。」
カンインが話してる声が頭の中で何回も響く。自分だけ言われると想ってた「俺のもの」という言葉。愛してるって言う時の甘い声。僕しか知らなかったカンインの秘密なのに。僕以外の人には言ってほしくないのに…。
カンインが宿舎の中に戻っていった。僕が中にいなかったら驚くかな。それで、探してくれるかな…。でも、もうそんな事をされても嬉しくない。だってカンインが一番好きなのは…、愛してるのは僕じゃないんだから。
もう深夜二時を回っただろうか。僕は草村に寝そべりながら泣きじゃくった。僕はカンインなしじゃ生きていけない。もう一度、愛してもらえるなら…、何だってするのに。
大好きな人が離れてしまう悲しみ。これは、どうやっても消せない思い。今日は流星群？流れ星がたくさん出ている。もう一度、あの頃に戻れますように…。綺麗な星空を眺めて、静かに目を閉じながら、……心からそう願った。
………(続きます。)
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作者名：みれいちご | 作成日時：2013年5月5日 11時
