あいたりないなら (ページ10)

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生きがい dtnb ページ10

オレンジ様リク

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(dt視点)

「はぁ…」

軽く1週間は残業続き。

やっと帰れた夜10時近くの帰り道。

ここ最近、仕事も人間関係もなにもかもが上手くいっていない。

何もやる気が起きない。

生きる意味さえも特に見いだせなくなってきたが、死ぬ勇気もないので、ただ淡々とこの世界を生きるしかないのだ。

「ただいま、」

玄関先から真っ暗なリビングに向かって呟く。

と、途端にパチパチとつき始めた電気。

翔太「おかえり、りょーた」

明らかに寝起きの顔と寝癖でとてとてと出迎えてくれたのは、まぁ…簡単に言うと、知らない人。

と言っても、同じ部屋に住んでいるのだから一応知ってる人ではあるのだが、この関係はどうにも、同居人とか、友達とかといった言葉で表せるものではない。

そして、住んでいるというよりかは、" 住まわしている "と言った方が正しい表現なのだろう。

…あれは約4ヶ月前のことだった。

あの時も、今と同じような事で悩んでいた。

更に最悪なことに、元恋人が亡くなったと聞いた日でもあった。

" 元 "なら関係ないのではないかと思う人もいるかもしれないが、一応円満に別れていて、別れたあとでも親友のような友人関係を続けているような人だった。

悩みも全部こいつに相談していた。

更に言うと、元恋人とは男だ。

別れた理由も、やはり同性愛はまだ理解が進んでいない、お互い一旦離れて女性とのお付き合いを視野に入れてみたらどうだ、という理由だった。

相手を嫌いにならずに別れたからこそ、友人関係を続けつつも、まだ情があったのかもしれない。

そんな奴が亡くなったと連絡が来たのは、仕事終わりの帰り道だった。

心臓がドクッと激しく鳴り、頭が真っ白になった。立っているのもままならなかった。

咄嗟に、道脇にあった公園のベンチに倒れ込んだ。

状況はまだ読み込めていないのに涙だけは出てきて、とにかく放心状態だった。

多分、出会ったのはこの時。

翔太「あの…だいじょぶ、ですか？」

この声だけは辛うじて覚えている。

あとはショックからか会話は覚えておらず、この人は朝起きたら家にいた。