あいたりないなら (ページ12)

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翔太「いただきます！」

「はーい、いただきます。……いっ、た…」

箸を持った瞬間、頭に激痛が走った。

まただ。疲れが溜まると、いつも決まって体調を崩す。

翔太「どうしたの…？」

心配そうに顔を覗き込んでくる。

その顔があまりにも動揺していて、咄嗟に" 不安にさせてはいけない "と思った。

「んーん、大丈夫。っほら、早く食べて早く寝よう」

翔太「…うん、」

そう返事をした翔太が、心做しか寂しそうだったことには気付かなかった。

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

朝を知らせるアラームの音が耳をつんざく。急いで起きて止めた。

いつもなら、隣で寝てる翔太を起こさないよう、目覚ましが鳴る前に起きるのに。

申し訳ないと思いつつ隣を見ると、すぴすぴと寝息を立てて寝ている。

ほっとしたのもつかの間、すぐさま頭痛と激しいだるさが襲ってきた。

「はぁ～…」

苦しさに耐えつつ起き上がろうとすると、腰に回ってきた腕。

翔太「ねぇ、しごと、いくの？」

「あ…、ごめん、起こしちゃったね」

翔太「ちがくて。しごといくの？からだあついよ」

「そうだよ、行かなきゃいけないの。…ほら、布団出るよ。寝てな。」

翔太「…もう起きたもん」

そう言って、朝の準備をして回る俺の後ろを眠そうにぺたぺたとついてまわってくる。

時々「休めないの？」とか「ねつあるよ」などと心配そうな顔で言ってきたが、その度に頭を撫でて「大丈夫だよ」と返す他無かった。

そして、いざ家を出る時間。

翔太「ほんとに、いくんだ。」

そんなに泣きそうな顔をしないでくれ。そんな顔をさせるつもりは無かったのに。

「今日も遅くなると思うから、作ってあるご飯食べて寝ててね。」

翔太「寝ない。帰る時連絡して。」

「…うん、分かった。」

翔太「ちゃんと、帰ってきてね」

「当たり前じゃん。じゃないと翔太のご飯誰がつくるの」

翔太「っそうじゃなくて、」

「大丈夫だよ、行ってきます。」

何か言いたげだったのを遮って家を出る。

ふらふらする身体に無理やり言うことを聞かせ、会社に向かった。