夏色の陽炎カゲプロ (ページ3)

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バレーの試合ページ3

夏季のバレー県大会予選。
これを突破すると、県大会、全国大会にいける。
私たちの学校は強豪校。女子も男子も相当強い。
ついでにセトもいるしね！

「A先輩がんばってくださ～い！！」
応援席から聞こえる、後輩の女子たちの歓声。
いつもの試合会場と同じ。
よし！いける！
「Aがんばって～」
応援席からカノの声が聞こえる。
はいよ～。
心の中で返事をして、相手のアタッカーと向き合う。

さあ、試合開始だ！

バシッ！バシッ!
ボールを打つ音と歓声で会場はすごくうるさい。

「はあ・・・はあ・・・ふうー勝った！」
ベンチで休憩中。
「お疲れーA」
カノがタオルを差し出す。
「サンキュ」
それを受け取って汗を拭きながら、今日の試合の感想を聞いていた。
「う～ん、アタックが少し強すぎ。
今日はずいぶんと攻撃的だったね」
カノはいつもこうやってアドバイスをくれる。
私専用のマネージャーみたいな感じだ。
「相手が強豪校だからね。他には？」
「特には。今日はスタミナ切れしなかったし、上出来」
「わかった。ありがとう」
「うん」
カノはいつも、微笑んでる。
少し本心が見えない。

「せ、先輩！！あの、これ受け取ってください・・・」
片付けて帰る途中、女の子にかわいい封筒を渡された。
女の子は後輩のようで、ピンクのリボンをしている。
そして、まるで本命の相手にラブレターを、渡すかのように顔を赤く染めていた。
「うん、ありがとう。帰ったら大事に読ませてもらうよ」
「は、はい。ありがとうございます」
「さっすがAモテモテっすね」
右後ろからセトの声が聞こえる。
「女子にしかモテないけどね～」
左の肩が重い。
カノの手が乗っているのだ。
「カノ、どういう意味だ！？」
「Aは、男子にはモテないって話だけど？」
「男子になんてモテなくても、かわいい女の子がいるからいいよ～」
「そんなんだから、彼氏できないんだよ」

カノが歩き出す。それにつられて私とセトも進んでいく。

「彼氏なんていてもつまらないだろ」
「冷めてるね～」
「そこがいいっす」
「誉め言葉に聞こえないよ、セト」

そんな話をしながら、みんなで楽しく帰った。