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９０話 ページ42
「ア゛ウ゛イ゛ゥ゛ウ゛」
学秀。
優秀さがストレートに響く従兄くんの……学秀くんの名前。
彼はいつから、私に名前で呼ばれたかったのでしょうか。
「―――――」
学秀君が口パクで何かを言っています。
この距離で口パクです。もしかしたらパパの空気のよめなささがうつったのかも知れません。
「―――――――――」
何かを喋っている様にも思えます。
この感じ。見覚えがあります。
『何も、聞こえないです』
正答を導き出すこの期に及んで不正答を導き出してしまった。
酷く取り乱したように学秀くんは私の手を握って何かを叫び続けていますが、何も聞こえない。
刻々と機能を失っていく身体が、終わりを近いことをより明確に示す。
季節は秋。来月にはテストがあります。
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