７１話 ページ23
あれから三日。どうやらビッチ先生は学校に着ていない様子。
烏間先生は他の暗殺者との面談に、殺せんせーはブラジルにサッカー観戦へ行ってしまった。
「ビッチ先生、大丈夫かな」
「う〜ん、ケータイもつながんない」
「まさか……困難でバイバイとかないよな」
「そんなことはないよ。彼女にはまだやってもらうことがある」
「だよねー、なんだかんだいたら楽しいもん」
「そう、君たちと彼女の間には十分な絆が出来ている。それは下調べで確認済みだ。僕はそれを利用させてもらうだけ」
！！？
平然と、その人は平然と教室に溶け込んできました。
「僕は『死神』と呼ばれる殺し屋です。今から君たちに授業をしたいと思います」
ドクリと心臓が波を打って、瞳孔が収縮を繰り返し始める。
「花をその美しさにより、人間の警戒心を打消し、人の心を開きます。渚君、君たちに言ったようにね。
でも、花が美しくかぐわしく進化してきた本来の目的は―――
律さん、送った画像を表示して」
「虫を引き寄せるためのモノです」
縛られているビッチ先生の写真がうつしだされる。
「手短に言います。彼女の命を護りたければ、先生方には決して言わず、君たち全員で僕が指定する場所に着なさい。来たくなければ来なくていいよ。
その時は彼女の方を君たちに届けます。全員に平等にいきわたるよう小分けにして。
そして多分次の花は君たちの内の誰かにするでしょう」
警戒できない。それが私の、声を出せない以上の疾患だとカルマ君が言っていました。
相手に警戒させないのも然り、相手を警戒できないのも然り。
「おうおう兄ちゃん。好き勝手くっちゃべってくれてっけどよ。
別に俺らは助ける義理ねーんだぜ、あんな高飛車ビッチ。
俺らへの危害をちらつかせてるが、烏間の先公やあのタコはそんな真似ゆるさねーぜ。
第一、ここで俺らに凹られるとは考えなかったか、誘拐犯？」
寺坂君たちが死神を取り囲む。
「不正解です。寺坂君。それらは全部間違っている。君たちは自分たちで思っている以上に彼女が好きだ。話し合っても見捨てるという結論は出せないだろうね」
その通りですね。
「そして、人間が死神を刈り取ることなどできはしない。
畏れるなかれ、死神が人を刈り取るのみだ」
乱れて散る花と共に死神は姿を消した。
後に置かれた地図を頼りに、超体育着をきて乗り込むことに決めました。
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