６６話 ページ18
峰刃Aside
ママを奪っていった病は律儀にも私の身体を蝕んでいく。
学校に行かなくなって、いけなくなって何日たったのでしょうか。
起きていられる時間も段々と短くなっていく。
「おはようございます。峰刃さん」
体育祭から殺せんせーは学校が始まる前にお見舞いに来てくれます。
でも窓からです。ちなみにここ１２階ですけど。
『おはようございます。殺せんせー』
察しのいい殺せんせーはもう私の身体についてはご存じなのかもしれません。
でも気を使ってその話題には触れないでおいてくれます。
「お勉強中にすみません。実はテスト、E組は勉強禁止にしました」
『何か、あったのですか？』
「えぇ、実は―――」
殺せんせーいわく、烏間先生から教わったＦＲのランニングの技術を勝手に街中で使ってしまい、おじいさんに怪我をさせてしまったそうです。
ちなみにここの病院にいるそうなので、私もあとで謝りに行こうと思います。
『そうなのですか……』
パタンと教科書を閉じる。
「ところで、峰刃さんは学校に来られそうですか？」
教科書を全部しまって、もっちりとしたビンタを受けて、殺せんせーは訊ねます。
『テストの日くらいはいけるようにしてくれるそうです』
「そうですか。あまり無理をなさらず、自分の身体を大切に、また元気に殺しましょう」
『はい！ 殺せんせー』
みんなによろしくと伝えてくださいと頼んで、私はベッドに全体重を預ける。
今寝たら、夜眠れなくなってしまう。
夜の病院ほど恐ろしいものはない。先生なんて懐中電灯なしで巡回するものだから、お化けか何かだと思っちゃいますよ。思ってましたよ。
第一印象は最悪と言ってもいいほどで、今も信頼しているとは言えません。
先生も、私の余命を隠していたうちの一人なんですから。
でも、先生がいなければ私はこの狭い部屋が世界のすべてになっていた。
そこは感謝しています。
勉強しないと本当にやることのない私。自宅警備員さんでももっとやることがありますよ。
みんなは二週間、無事乗り切ったそうです。松方のお爺さん曰く、出来すぎてちょっと気持ち悪いそうです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
