: ページ9
裏「兎原来てない?」
猫「居ますよー。ここに。」
そう指さす所を見ると、顔を赤らめカウンターに突っ伏して寝ている兎原の姿があった。
裏「相変わらず期待を裏切らない奴だな。」
ため息をつきながらカウンターへと歩いてくる裏道。Aは一人会話についていけず、キョロキョロと裏道と猫田の顔を見比べた。
『猫田さん、裏道さんともお知り合いなんですか?』
猫「あーそうそう。同じ大学の先輩だし、裏道さんが兎原達と同室ってのもあってね。』
裏「まぁそういう事。で、Aさんはどうやって帰るの?」
『え、1人で帰ろうと思ってましたけど?』
猫「うーん…さすがにこの時間で1人は危ないんじゃないかな?」
裏「それにここからだと家は遠いだろ。」
『あ、そうでした…すっかり忘れていました。』
今日は離れている場所に来ているのを勘違いしていた。兎原が居たのもあって、うっかりしていたのだ。
裏「このウサギは飲み潰れてるけど、Aさんはまだ飲む予定なの?」
『いえいえ、兎原くんが潰れたら帰ろうと思ってましたし。』
猫「それは寂しいなぁ。俺とお話しない?」
『んー…今日はとりあえず帰ります。また時間を見つけて来ますね。』
裏「なら待ってるから用意して。」
『あれ?裏道さん飲みに来たんじゃないんですか?』
不思議そうに裏道を見上げるが、ふいっとそっぽを向かれてしまった。
裏「…一軒飲んできてその帰り道。兎原に用事があったけど寝てるなら明日で構わないから、ついでに送ってく。」
『?そうだったんですね。分かりましたー!用意しまっす!』
カウンターチェアからぴょこりと飛び降りると、壁にかけてあった上着を手に取り帰る準備を始める。
猫「んふふふ。裏道さんも素直じゃないなぁ」
裏「何その笑い方。気持ち悪いんだけど。」
猫「裏道さんがよく行く店はここと正反対ですよねぇ。Aちゃんが心配で迎えに来たんでしょ?」
裏「…勝手に言ってろ。」
横を向いたままの裏道はいつもの表情だったが耳が赤くなっているのを猫田は見逃さなかった。
14人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時