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『兎原くんの周りって顔が良くてモテる人多いよねぇ。』

兎「……否定はしねーけど。」

『今日初めて会った猫田さんもそうだけど、裏道さんも熊谷くんも。あ、池照くんもね。』

兎「待って?俺は?突然ディスられてびっくりよ???」

『……兎原くんはどっちかっていうと…犬、みたいだよね。』

兎「それ褒められてないよな…?」

『褒めてる褒めてる。それに皆イケメンだけど同等の何かを抱えてるよね。』

兎「…それも否定はしない。」

『ははっ、だよね〜!』

兎「……Aちゃんは良いなぁとか思う人居ないの?」

『ん?皆良い人だと思ってるけど。』

兎「そうじゃなくてだな!男としてカッコいいとか彼氏にしたいとか無いのって聞いてんの!」

『う〜ん…皆顔が整ってるし、面倒見が良いし、優しいし…男性としても素敵だと思ってるよ?』

兎「……なら男って意識した事無いのかよ。」

俺が何気なく言った言葉に目をぱちくりとさせると、急に自分の顔をばちん!と叩いた。…多分初めて照れたような顔を見せた。

兎「何突然!?…あー、思い当たる事あるんやろ?」

『…。兎原くんが悪い。』

じろりと見上げるAちゃんの顔は叩いただけではない頬の赤みが見えた。こんな顔もするんだな…じーっと俺を睨みつけるがそんな表情だと怖くないんだよ。まったく。

兎「はいはい。俺が悪うございましたー!ほら、ほっぺ見せて。猫田ー!つめたいおしぼりちょーだい!」

猫「はいよ。」

話を聞いていたのか、猫田はすぐに冷たいおしぼりを持って来た。

兎「これで冷やして。跡が残ったら俺、殺されちゃうから。」

『…ありがと。それと気になってたんだけど、猫田さんが"噂はかねがね"って言ってたけどあれどういう意味?』

兎「え"っ…その…」

猫「兎原と熊谷が君の事をよく話してたんだよ。だから名前も覚えちゃった☆」

兎「ちょっ、猫田!!」

『……私の話って?』

猫「Aちゃんって可愛い女の子がいるんだけど、どうやったら仲良くなれるかなーとか、もっと話がしたいとか、そんな話。」

猫田はカウンターに肘をついてニヤニヤとしながら俺に目配せしてくる。
なんでお前が言うんだよ!!!恥ずかしいだろうが!!!

『そうなの?』

これまた驚いたように目を見開いて俺を見るAちゃん。お願いだからそんな純粋な目で見ないで…。

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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時

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