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———15分後

詩「は!?うらみちお兄さんと熊谷君から告白?しかも今日同時に!?」

『う、詩乃さん!!しーっ!静かに!!』

詩乃の伸びる声が静かな店内に響く。周りの客からのちらりとした視線が痛い。

詩「っとと…あっはは、すみませぇ〜ん。」

詩乃は先程Aに用があって電話をしたのだが、Aが泣きじゃくっていたので慌てて駆けつけたのだ。
理由を聞いてみれば、まさかそんな事になっていたとは思いもよらず声を上げてしまった。

『冷静になれば私が悪いって分かって、凄く自己嫌悪に陥ってしまって…。』

詩「….?どうしてAちゃんが悪いの?何も悪い事なんてしてないじゃない。」

詩乃の不思議そうな反応に、一瞬戸惑ってしまった。

『え…っ、だって…先に熊谷君と約束してたので本当なら熊谷君との予定を先にする必要があるのに…嘘までついて後回しにしちゃって…。』

しゅんとするAをじっと見つめながら詩乃はコーヒーをひと口飲んだ。

詩「これはあくまで私の考えだけど、最初に約束したからって必ず1番にしなきゃいけないなんて事は無いと思っているの。」

『…それは、どうしてですか?』

詩「誰を優先するもしないも、それはAちゃんが決めて良い事でしょ?約束した相手がそれをAちゃんに強要する事では無いと思うわ。…それに、自分が会いたい人は早く会いたいじゃない?」

詩乃の考えは目から鱗のような考え方だった。今までは必ず"約束"を優先しなければならないと思っていたからだ。

詩「まぁ仕事だとそうもいかないけどね〜。限度はあれど、プライベートくらい自分の気持ちを優先したって良いじゃない。」

『自分の…気持ち、ですか。』

目をまんまるにしながら考え込む姿を見て、詩乃は1つため息をつくとワシャワシャと頭を撫でた。

詩「実は今日、カヨちゃんや辺雨さんと集まって女子会やろうって話だったんだけど気分転換にAちゃんも良ければ来ない?」

『女子会…。』

詩「そ!せっかく女子が集まるんだし、他の人の考えを聞いてみても良いと思うんだけど…どうかしら。」

『…はい。ぜひ参加させてください!』

そう言ってやっとAに笑顔が戻った。

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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時

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