ごめんなさい ページ46
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Aはティーカップを手に取りこくりと飲むと、懐かしむように窓の外を見た。
『ママンとトゥギャザーへ派遣になった時は、正直どうなるか心配でした。』
裏「まぁ…最初が最初だしな。」
『そうなんですよ。…でも、皆さんがこんな私でも受け入れて下さって…助けてくれて嬉しかったです。』
裏「そりゃ、当たり前だろ？そうじゃなくても振り回されてたんだし。」
『ふふ、…裏道さんはそういう人ですよね。』
その笑顔に、何故か違和感を覚えてしまった。何かを決めたようなそんな瞳をしている。
『…裏道さん、これから私は職場でADに徹する事に決めました。』
裏道の背中にひやりとしたものが通った。
裏「……は？」
『皆さんの事は
裏「ちょ、なんでそんな勝手に…！」
『……彩色先輩がどこまで干渉してくるか分かりません。皆さんに迷惑をかけたくないんです。それに…』
『………何を言われるか、怖いんです。』
俯いてポツリと言ったAは、震える手で自分の腕をぎゅっと握っていた。
突然の事について行けず裏道はつい声を荒げてしまいそうになるが、その姿を見てハッと我に返る。
『それでも干渉があるのならば、ママンとトゥギャザーのADを降りて、元のアナウンス部に…』
裏「それは、駄目だ。」
『……どうして、ですか？』
全てを言い切る前に裏道から肩を掴まれ、強い言葉で遮られた。
裏「Aさんの不安が無くなるなら、苗字で呼ばれる事も必要な事だけ話すのも我慢できる。けど、ウチのADを辞めるのだけは受け入れられない。」
『で、でも、万が一迷惑をかけ、』
裏「好きだ。」
『……………ぇ、』
裏「俺は、Aさんが好きだから。勝手だけどADを辞めて欲しくない。」
真剣な顔で真っ直ぐみつめる。現状に追いつかない頭をフル回転させながら今言われた事を反芻する。
『……すき、って、』
裏「うん。」
『裏道さんが……わ、私を？』
裏「….そう。」
少し頬を赤らめながら優しく笑う裏道を見て、やっと理解した途端一気に身体全部が熱くなった。
裏「…驚かせてごめん。Aさんが居なくなるって思ったら、抑えられなかった。」
———
——
その時、偶然カフェの窓にうつる裏道とAの姿を見ている人物がいた。
熊「……A…なんで、姉さんじゃなくて裏道さんといるんだ？」
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作者名：水無月(みなづき) | 作成日時：2023年10月14日 12時
