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熊「…それってAの上司からの指示ですか?」
裏「…いや、何となく。かな。」
兎「上司って…」
ガチャリとドアが開く音がする。
池照君も姉さんも着替えずに急いでここに来たみたいだ。
詩「遅くなってごめんね。」
池「お待たせしました…!」
裏「大丈夫ですよ。そしたら適当に座ってください。」
みんなが腰掛けると、裏道さんはゆっくり話し出した。
裏「Aさんの上司、高見野さんはうたのお姉さんに会う前…今日の午前中に俺に会いに来たんだ。」
詩「えっ!?」
裏「最初は何事かと思ったけど…」
———裏道回想…
朝、いつもの衣装に着替える前に一服しようと控え室から出ると知らない声が自分を呼んだ。
?「すみません、うらみちお兄さんですよね?」
相手はへらりと笑いながら会釈すると裏道の方へ
向かう。
裏「……どちら様ですか。」
高「そんなに警戒しないで下さいよ〜!僕、アナウンサー部の高見野と言います。」
裏「!…Aさんの。」
以前Aから聞いていた、
高「はい、走井がいつもお世話になっております。」
裏「こちらこそお世話になっています。…出木田に用なら呼びましょうか?」
高「いえ、それとは別件でして。……うらみちお兄さん、ここで走井は皆さんの役に立ってますか?ほら、あいつどこか抜けているんで…。」
頭を掻きながら悪びれもなく笑う。その姿にムッとした裏道はつい語気が強くなった。
裏「そんな事はありません。俺を含めたキャストやスタッフもかなり助かっています。」
高「………そうですか。」
そうぽつりと呟くと、優しそうな笑みを浮かべた。高見野の真意が分からず裏道は困惑してしまう。
裏(木角さんみたいに笑うけど、掴み所が無い人だな…)
裏「…あの?」
高「"裏道さん"、僕は貴方に走井の事でお話したい事がありこちらに来ました。少しお時間宜しいでしょうか?」
その顔は先程とは別人のように真面目な顔をして裏道を見据える。
裏「…分かりました。こちらにどうぞ。」
そう言って自身の控え室に高見野を招き入れた。
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時